米国立雪氷データセンター(NSIDC)の発表によると、2016年6月の北極の海氷面積が観測史上最小を記録しました。これによって、2016年に入ってから3月を除くすべての月で海氷面積が最小記録を更新したことになります。
1979年から2016年までの北極における6月の平均海氷面積(単位: 百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
上の地図は、衛星による海氷面積の測定が開始された1979年以降の6月の北極における平均海氷面積を表しています。2016年6月の平均海氷面積は1,060万平方キロメートルで、これまで最小だった2010年を約26万平方キロメートル下回り、6月としては史上最小面積となりました。また、1981年から2010年までの平均面積よりも約136万平方キロメートル小さくなっています。
2012年から2016年の北極の平均海氷面積の変化(単位: 百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
6月の海氷面積の溶解ペースは平年並みでしたが、北極地域の気象状況の変化に伴い、前半はとけるペースが遅く(6月4日から14日までの溶解面積は1日あたり約37,000平方キロメートル)、後半はペースが2倍以上(15日以降は1日あたりの溶解面積が約74,000平方キロメートル)になりました。上のグラフで見ればわかるように、今年は夏の北極の海氷最小面積が史上最小を記録した2012年とほぼ同じペースでとけています。
米航空宇宙局(NASA)や米海洋大気局(NOAA)、英気象庁や東京大学を含む合計30の気象機関や大学の研究チームによるコンピュータモデルのシミュレーションでは、ひとつのモデルを除いて今年の夏の最小面積が記録を更新することはないと結論づけていますが、このまま今年が過去最小を更新するかどうかは、7月以降に急激な加速を見せた2012年を上回るペースでとけるかどうかにかかっていると言っていいでしょう。
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