日本の気象庁と米海洋大気局(NOAA)の観測データでは、2016年6月は共に観測史上最高の世界平均気温を記録しました。気象庁の発表では過去14ヶ月中13ヶ月、NOAAのデータでは14ヶ月連続で世界の平均気温が観測史上最高を更新しています。
3月から5月にかけて過去最高を更新しながらも平均気温が著しく下降したため、6月は記録を破らないのではないかとも言われていましたが、NOAAと同日に発表された米航空宇宙局(NASA)のデータによると、6月の世界平均気温は同月として観測史上最高を記録し、昨年10月から9ヶ月連続で各月の過去最高を更新しています。
1880年から2016年までの6月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における6月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。
6月の平均気温の偏差(1951年から1980年が基準)は+0.78℃で、先述のとおり5月の偏差(+0.95℃)から0.17℃も値が小さくなりましたが、2015年の+0.77℃をわずかに0.01℃上回り、観測開始以来最高となりました。
2016年6月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)Credit: NASA
この6月の世界平均気温の偏差を表した地図を今年の初めの頃と比較すると、北極圏を中心とした北半球高緯度地域と、エルニーニョの影響を受けていた赤道太平洋付近の気温がかなり下がってきました。しかし、逆にエルニーニョの影響がなくなったのにまだ観測史上最も暖かい月になっていることに気候変動の影響を感じます。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)Credit: NASA
このグラフは今年1月から6月までの世界平均気温の偏差をNASAのデータで最も暖かかった6年と比較したものです。極めて異常だった3月までと比較すると涼しくなってきたとはいえ、昨年の同時期よりも0.28℃も高くなっており、異常な暖かさはまだ続いているといえます。
ちなみに、7月の過去の最大偏差は昨年と2009年に記録した+0.72℃なので、今月の+0.78℃から大きく平均気温が下がれば、記録更新は9ヶ月で途切れることになります。
今度こそぜひ途切れてもらいたいものです。
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