【独り言】ポケモンGOと自然とのふれあいと環境差別

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  アメリカではいち早く配信が開始されていたポケモンGOがついに日本でも配信され、ニュースやSNSはポケモンGOに埋め尽くされているという印象を受けます。

  ポケモンGO配信開始以来、アメリカでは近所でポケモンではなく死体を発見する人は出るわ、崖から落ちる人はいるわ、強盗に待ち伏せされて身ぐるみ引っぺがされる人が出るわと、ゲーム開発者からすればまったく想定外なことが起こって話題になっています。

  でも、ポケモンGOのおかげで、これまで意識しなかった自分の近所にある自然と触れあう機会が増えるのはいいことです。

  公共の公園は多くのポケモンが発見される場所で、ポケストップにもなっているらしく、日没までポケモンを探す人が絶えないようです。公園を利用する人はそんなに多いわけではなく、近所にあってもなんとなく敷居が高い存在なので、ポケモンGOをきっかけに、自然があふれる公園に人々の足が向かい、ポケモン以外にも見知らぬ植物や昆虫、小動物と触れあう機会が増えるのはいいことだと思います。

  ポケモンを探すために外出する人たちに少しでも自然に興味を持ってもらえればと、カナダの昆虫学者で大学院生であるモーガン・ジャクソンさんが、Twitterで #PokeBlitz というハッシュタグを作り、ポケモン探し中に見つけた、名前のわからない昆虫をツイートすれば、彼や知識のある人が答えるという企画を発案しました。


  すると、ポケモンGOのプレー中に、トウワタの葉の裏に何かわからない卵らしきもの(ツイート主は蝶の卵かと尋ねています)を見つけた人がこのハッシュタグを用いてツイートすると・・・。


  ジャクソンさんが「クールだね!それはキョウチクトウアブラムシだよ!」と答えています。

  また、別の人が同じハッシュタグで蝶の名前を尋ねると、メンションで「Eastern tiger swallowtail(東方虎アゲハチョウ)」だと答える人が・・・。


  このハッシュタグを用いてツイートされる対象は昆虫だけでなく、植物や小動物にも広がりながら、細々と続いているようです。日本でもこんな風にポケモンを探している最中に出会った見知らぬ昆虫や植物、動物などの情報交換をして、あらためて自然環境に目を向ける機会が増えればいいなと思います。

  また、流行を利用して公園でポケモンGOイベントを開催し、市民が自然環境と触れあう機会を作ろうとする自治体も少なくないようです。

  ポケモンGOをきっかけにこれまで意識したことがなかった、自分の近所にある公園を通して自然環境とそこで共存する昆虫や動植物に興味を持つ人が増えるのはとてもいいことですが、その機会がすべての人に平等に与えられているのかとなると、そうではありません。

  アメリカの公共の公園は、白人と富裕層の多い地域に多く作られ、アフリカ系やヒスパニック系、貧困層が多く暮らす地域にはあまり作られていません。

  米レクリエーション ・公園協会の調査によると、カリフォルニア州ロサンゼルスでは、アメリカが定める人口1000人あたりの公園の面積に関するガイドラインの基準(6~19エーカー)の下限に対し、アフリカ系住民が多い地域では10分の1(0.6エーカー)しか公園がなく、ヒスパニック系住民が集中する地域では約4分の1(1.7エーカー)しか公園面積がありません。それに対し、白人が多く住む地域は、人口1000人あたりのガイドライン下限である6エーカーの5倍以上の31.8エーカーもの公園面積を有しています。

  このように、ポケモンを発見できる機会も、ポケモンGOを通じて自然環境と触れあう機会もすべての人にとって決して平等ではなく、世界中の人たちが熱狂する最新のゲームにも、既存の環境差別が反映されてしまっているのが残念でなりません。

【参考記事】

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