アメリカの国土面積は日本の25倍以上もあり、本土に加え遠隔地(アラスカ州とハワイ州)まであるため、地域や州によって気候が大きく異なります。テキサス州だけでも日本の国土面積の1.8倍もあり、州内の東部と西部、北部と南部でも気候が異なります(テキサス州の大きさを表す例として、「8時間ドライブしてもまだテキサス州から出られない」がよく使われます)。
国土が広く、三方に海があり、山もあればとんでもなく広大な平地もあるアメリカでは、気候変動による影響も地域によって違います。
米環境系ニュースメディアの「Grist 」が、政府などのレポートを元に、気候変動がアメリカ50州(とプエルトリコ)にどんなインパクトを与え始めているかをわかりやすいイラスト地図にまとめていたので紹介します。
Credit: Courtney Menard
気候変動によるインパクトは各州それぞれ地図に載っているひとつだけに限りませんが、11月に行われる選挙を前に各州の有権者に気候変動の深刻さを伝えるために、Gristが最も重要と考える要素を選んだそうです。
アメリカ全体の大きな特徴としては、水循環関連の気象現象(というよりも極端な気象現象)の影響を受けている州が多く見られます。
カリフォルニア州の厳しい干ばつ(intense drought)、隣接するネバダ州の給水源の縮小(shrinking water supply)、その隣の2州、ユタとコロラドは積雪量が減少(shrinking snowpack)、中部のネブラスカ州では地下水の枯渇(shrinking aquifer)、バーモントのスキー産業(skiing industry)と、気温上昇に伴う降水量の減少の影響を受けています(地下水の枯渇は降水量が少ないことに加え農業用水として汲み上げすぎているのも原因のひとつ)。オクラホマ州のダストボウル(dust bowl II)も水不足が原因と言ってよく、その他では農作物の収穫量の減少(crop losses)も他の要素も考えられるものの、水不足も主な原因のひとつでしょう。モンタナ州の野火(wildfires)も高温と乾燥が原因と考えるのが自然ですし、テキサスやアリゾナなどの熱波(heat waves)は、干ばつ予備軍です。
干ばつや水不足とは逆に、ノースダコタでは河川の氾濫(river flooding)、ミシガン州は積雪量の増加(more snow)、その南西に位置するオハイオ州の大雨(heavy rainfall)など、降水量の増加による深刻な影響を受けている州もあるのは、気温が上昇すればどこかで蒸発した水分がどこかで降るという、気候変動が進行すると必ず起こると予想されていたことが現実になっています。
そして、メキシコ湾岸(南部&南東部)と大西洋西岸(東部&北東部)は、海面上昇のインパクトを受けている州が並んでいます。
アラバマ州の高潮(storm surge)、フロリダの未来の列島(future archipelago)は、州の一部が海に沈んで「フロリダ諸島」になることを表しています。東部ではバージニア州で米海軍基地が浸水(flooded naval base)を筆頭に、北東部まで海面上昇による浸水が目につきます。
ウエストバージニアのシカの増加(more deer)はちょっと意味がわかりませんが(暖冬と降雪量の減少がシカの個体数増加に繋がり、植物が食い荒らされる事態を招いているとか)、気候変動の進行に伴って顕著になると言われてきたアレルギーやライム病なども入っており、温暖化のロクでもなさがよくわかります。
また、50州に加えてなぜプエルトリコが入っているのかというと、ジカ熱の感染者が確認されたためだと考えられますが、もうすでにこの記事を書いている2016年7月末時点で、フロリダ州でも蚊を媒介にしたジカ熱の感染者が出ており、数年後にこの地図がアップデートされるようなことがあれば、南部を中心にジカ熱(zika)が並んでいるかもしれません。
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【参照記事】
【参照記事のソース】
What Climate Change Means for Regions Across America|The White House
Our Changing Climate|National Climate Assessment
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