米国立雪氷データセンター(NSIDC)が、2016年7月の北極の海氷は2011年と2012年に次いで観測史上3番目に小さな平均面積を記録したと発表しました。今年に入ってから北極の月平均海氷面積が過去最小を記録しなかったのは、3月に次いで2度目となりました。また、これにより9月に最大となる海氷面積が観測史上最小を記録する可能性が小さくなりました。
2012年から2016年における4月から8月1日までの北極の平均海氷面積(単位: 百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
7月の北極の平均海氷面積は813万平方キロメートルで、同月としては2011年と2012年に次いで3番目に小さくなりました。今年に入ってからは3月を除く各月で過去最小面積を記録してきましたが、7月は北極の広い海域で気圧の低い日が多かったため、雲が多く気温も低くなったことで海氷の融解が進まなかったようです。
1979年から2016年までの北極における7月の平均海氷面積(単位: 百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
衛星による観測が始まった1979年以降、7月は平均で72,700平方キロメートルの海氷がとけてなくなっています。10年あたりで7.3%の海氷が融解していることになります。
(上)1850年から2013年までの北極における冬と夏の海氷面積。青いラインが冬の最大面積、赤いラインが夏の最小面積(単位: 百万平方キロメートル)。(下)1850年から2013年までの北極における平均海氷面積の偏差(基準年は1850年から2013年。単位: 百万平方キロメートル)。
Credit: NSIDC
また、米海洋大気局が新たに発表した、捕鯨船などが収集した過去のデータを元に算出した1850年から2013年までの北極における海氷面積のグラフを見ると、過去20年ほどの間に、温暖化の影響で海氷の融解が加速している様子がわかります。
北極圏の温暖化は他の地域と比較して2倍の速さで進んでおり、海氷がとけることで暗い海の表面の露出が大きくなって太陽光を反射する能力が減少するため、より多くの太陽エネルギーを海洋が取り込むことで気温が上昇し、さらに海氷の融解が進む北極温暖化増幅の影響が現れていると言えるでしょう。
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