産業革命以降、人類による資源開発という名の環境破壊が行われてきました。特に第二次世界大戦後の勢いは凄まじく、米環境保護庁(EPA)によると、1960年頃からの50年間で人類が消費した資源は、それ以前のすべての人類史における消費量を超えているそうです。
そして今回、国連環境計画の国際資源パネルが発表したレポートによると、1970年以降の40年間で、化石燃料や金属類、その他の天然資源の採掘量が3倍以上に増加し、富裕国による消費量は貧困国の10倍にも及んでいるそうです。また、このままでは2050年には2010年の3倍近い資源が必要となり、持続可能な社会には程遠く、化石燃料の燃焼によって大気は汚染されて気候変動が加速し、生物の多様性は失われ、貧困国同士による天然資源の奪い合いに発展する恐れがあると警告しています。
1970年から2010年までに世界で開発された非金属・金属鉱石・化石燃料・バイオマスの量。(単位: 百万トン)
上のグラフは、1970年から2010年までに世界で採掘・伐採された非金属資源、金属鉱石、化石燃料、バイオマスの量を表したものです。
1970年に220億トンだった採掘量は、2010年には700億トンまで激増しています。そして、世界の国々はその資源を平等に消費しているわけではありません。日本を含む富裕国は貧困国の10倍、世界平均の2倍の資源を消費してきました(日本は最も資源を輸入、消費してきた国のひとつです)。
このままのペースで資源開発と消費を続けると、人口が90億人に増加するとみられる2050年には、需要を満たすために現在の3倍近い1800億トンの資源を毎年採掘・伐採する必要があり、その影響によって土壌と水資源の酸化と富栄養化が進むと同時に、大量の廃棄物の排出と汚染の原因になるとレポートは指摘しています。
国際資源パネルの共同責任者であるアリシア・バルセナ・イバラ氏は「異常な速さで進む資源開発の深刻な影響はすでに人々の健康や生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)に現れており、現在世界に普及している生産と消費のパターンが持続不可能であることを示しています。経済を強くし、人々を貧困から抜け出させるためには、資源を枯渇させてしまう前にこの問題に早急に対処する必要があります。この非常に複雑な人類史上最大の問題は、あらゆるレベルにおいて持続可能な発展に最大限に寄与するような天然資源開発の管理方法を考え直すことを私たちに求めているのです。」と述べています。
この地球の資源を我れ先にと不公平に消費し、そのために引き起こされる問題には目をつぶり、モノに囲まれることで欲求を満たしてきた私たちは、これからの時代にふさわしい豊かさや幸せの基準を問われているのではないでしょうか。
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