日本の気象庁に続いて米航空宇宙局(NASA)が発表したデータによると、2016年7月の世界平均気温は同月としては観測史上最高を記録し、昨年10月から続いている各月の観測史上最高記録の更新は10ヶ月連続となりました。
1880年から2016年までの7月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における7月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。
NASAのGISSデータより作成。
7月の平均気温の偏差(1951年から1980年が基準)は+0.84℃で、2009年と2015年の+0.72℃を大きく上回り、同月としては1880年の観測開始以来最高を記録しました。これで昨年10月から10ヶ月連続で世界平均気温が各月で過去最高を更新しており、観測開始以来最も暑い10ヶ月間、そして同じく最も暑い1月から7月になりました。
2016年7月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)
Credit: NASA
今年の春までと比較すると北極圏の異常に暑い地域は縮小してきましたが、永久凍土がとけたことによって炭疽病が流行したロシアのシベリア西部(ロシア北部の濃い赤の部分)などでは平年よりもかなり高い気温を記録しました。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)Credit: NASA
このグラフは今年1月から7月までの世界平均気温の偏差をNASAのデータで最も暖かかった6年と比較したものですが、6月の+0.78℃から偏差が+0.84℃と上昇したため、気象庁のデータと同じく下降ペースが緩やかになりました。エルニーニョ現象が終息し、ラニーニャへ移行していく中で気温は下がり続けると予想されていたため、この結果に驚く気候科学者もいますが、同じようにエルニーニョの2年目だった1998年にも一度気温が低下してから再び数ヶ月上昇したことがあったため、このような現象そのものは異常ではありません。
でも、この暑さは異常です。
Credit: Gavin Schmidt
上のグラフは、NASAゴッダード宇宙研究所のディレクターで気候科学者のギャビン・シュミット氏が作成した各月の世界平均気温の偏差を表したものです。通常は7月が1年で最も暑い月であることから、少なくともNASAが観測を開始した1880年以降において、人類は観測史上最も暑い1ヶ月間を過ごしたことになります。このグラフでも、今年の異常な暑さを感じることができます。
July data are out, and what do you know, still 99% chance of a new annual record in 2016. pic.twitter.com/ndSsbYuedA
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) August 15, 2016
そして、毎月恒例になってしまった感のあるシュミット氏の予測によると、7月を終えた時点でも、記録ずくめだった昨年を上回って2016年が観測史上最も暑い年になる確率は99%です。
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