アメリカでは、これまでに旅行先での感染や性交渉による感染を含め、2200人以上がジカ熱を発症しており、7月にはフロリダ州南部で米本土初となる蚊の媒介による感染例も確認されました。
そして、2016年8月18日に、人気のリゾート地であるマイアミビーチで蚊が媒介したと見られるジカ熱への感染が拡大していると米メディア報じ、翌19日にはリック・スコットフロリダ州知事が会見を行って、マイアミビーチで5人(男性3人と女性2人)の感染が確認されたと述べました。これにより8月19日までにフロリダ州における蚊の媒介によるジカ熱への感染者数は36人になっています。
米フロリダ州マイアミ・デイド郡で蚊の媒介によるジカ熱感染例が確認されている地区
Credit: CDC
これを受けて米疾病対策センター(CDC)は妊娠中の女性に対し、7月に感染例が確認されたウィンウッド地区に加え、マイアミビーチへの訪問を避けるよう勧告しています。
今年(2016年)1月の時点ではまだジカ熱が流行している国への渡航者が感染した例もわずかしかありませんでしたが、その半年後にはフロリダ州で蚊による感染が確認されるほど、蚊が媒介する感染症は急速に広がります。人の移動が容易になった分、蚊も人と一緒に移動するのが容易になったことが原因のひとつとして容易に思い浮かびます。
そして、気候変動によって気温が上昇すれば、ネッタイシマカを含むジカ熱を媒介する蚊の生息域は拡大するという研究結果もあります。同時に、気温が上昇すれば繁殖期も長くなるため、ジカ熱に感染する可能性は高くなります。
現時点では地元の蚊が媒介したジカ熱感染者はこれらふたつの地区に限定されていますが、長期的に見ると米南部を中心に今後ネッタイシマカが生息する他の州に感染が拡大するのは時間の問題でしょう。
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