気候変動の影響によって移動を強いられる、または将来的に移住するという選択を迫られる可能性が高い地域の人々に関するニュースを見聞きする機会が増えてきました。
このブログでも、アラスカ州ニュートックの移住を迫られている先住民の村、住民投票によって移住を決定した同州シシュマレフの先住民の村、アメリカで初めて気候難民として移住することになったルイジアナ州のメキシコ湾岸に位置する小さな島に暮らす先住民コミュニティの話題を記事にしてきました。
これらは氷山の一角でしかなく、連邦政府と州からの資金援助を待っているコミュニティーは他にもあります。海外に目を移すと、南太平洋のキリバスは国民全員が移住しなければならなくなる事態に備えてすでにフィジーに土地を購入しています。また、ツバルのように周辺国に対して国民を移民として受け入れるように要請している国もあります。気候変動が進み、その影響が深刻になるに従って、気候難民として他国への移住を余儀なくされる人は増加の一途を辿ると思われます。
また、気候変動の長期的な影響によって移住を迫られる人々だけでなく、気候変動の寄与が考えられる極端な気象現象によって家を失い、住み慣れた場所を離れざるを得ない人たちもいます。
そして、気候変動の影響を受けて移動を迫られるのは私たち人間だけではありません。生物たちもまた気温上昇によって激変した環境から、繁殖に適した気候を求めて移動を強いられています。
といっても、生物たちがどれくらいの距離をどのように移動をしているのか、なかなかイメージが湧きませんよね。
気候変動の影響を受けた南北アメリカ大陸の3000種近い生物たちが、今後どのように移動することになるのか、その様子がよくわかる「Migrations in Motion」というアニメーション地図を、米環境保護団体のネイチャー・コンサーバンシーと地図製作専門家のダン・マイカ氏が公開しました。
北アメリカ大陸(上)と南アメリカ大陸(下)をほ乳類(ピンク)、鳥類(水色)、両生類(黄色)が移動する様子。
この地図は、2013年に発表された南北アメリカ大陸の2,903種に及ぶほ乳類、鳥類、そして両生類が気候変動などの人為的な影響を受けてどのように移動するかを分析した研究結果を元に作成したそうです。
アメリカの地理に詳しい人は、米東部で生物がアパラチア山脈を、西部でロッキー山脈を目指して移動しているのがわかるのではないでしょうか。適した気温の場所を北上することで見つける種と、高い場所に求める種がいることを表しています。
産業革命以降、私たち人類が続けてきた生活様式によって、他の生物たちにこれほどの影響を与えてしまっているんだということを認識させてくれますね。
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