2016年9月3日午前8時過ぎに、米オクラホマ州ポーニーの北西部においてマグニチュード5.6の地震が発生しました。この地震による大きな被害は報告されていませんが、オクラホマ州ではここ数年で人為的な地震が急増しており、今回の地震もシェールガスの採掘法であるフラッキングが関係している可能性が指摘されています。
米地質調査所(USGS)によると、マグニチュード5.6という規模は、2011年11月に同州プラハで発生した地震と並んで同州では過去最大となりました。また、今年2月には同州フェアビューでマグニチュード5.1の地震が発生しています。
プレートとはまったく関係のない地域の非常に浅い場所が震源だったためにフラッキングなどのシェールガス採掘の工程と関連があるのではないかという疑問に対し、USGSは現段階で地震の原因を特定することは難しく、詳しく調査したうえで発表すると答えています。
2009年には3回しか発生しなかったマグニチュード3以上の地震が、2013年には109回、2014年には585回、2015年には907回発生し、今年もすでに400回以上を数えています。
USGSはこれらの地震の原因について、シェールガスを採掘した後に残った廃液をガス井に戻すことで地盤が滑りやすくなり、地震を引き起こしていると指摘していますが、フラッキング自体や、その他の工程についても地震が発生しやすい状態を作り出していると述べています。
今回地震が発生したポーニー周辺も例外ではなく、フラッキングによる採掘を行っているガス井が点在しています。
オクラホマ州ポーニーにおける太陽光ファーム、ガス井/油井、精油所、発電所の位置。緑色のドットがシェールガス/オイルの採掘が行われている場所。Credit: Drilling Maps
上の地図は、ポーニー周辺の主なエネルギー関連施設を表しています。緑色のドットが採掘中のガス井と油井の場所です。USGSが発表した震源地であるポーニーの北西約15kmあたりを見ると、ガス井/油井をいくつか確認できます。
オクラホマ州は、激増しているフラッキングの工程が原因といわれる地震への対応策として、フラッキングの禁止や厳しいルール作りを一切行っていません。地震が減少することを期待して、2015年半ばに採掘後のガス井/油井に戻す廃液の量を減らすよう企業に命じましたが、現時点でその効果は見られません。
今年初めにマグニチュード4を超える地震が相次いだ際には、専門家がさらに大きな地震が起こる可能性を指摘していましたが、早くもそれが実現した形になりました。
取り返しのつかない壊滅的な被害が出る前に、規制の厳格化やフラッキングによるシェールガスの採掘の是非を議論しなければなりません。
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