米航空宇宙局(NASA)の発表によると、2016年8月の世界平均気温は同月として観測史上最高を記録し、昨年10月から続いている各月の観測史上最高記録の更新はこれで11ヶ月連続となりました。
1880年から2016年までの8月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における8月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。
8月の平均気温の偏差(1951年から1980年が基準)は+0.98℃で、2014年に記録した+0.81℃を大きく上回り、同月としては観測開始以来最高となりました。これで、昨年10月から11ヶ月連続で世界平均気温が各月で過去最高を更新しています。また、最も暑い1月から8月に、そして最も暑い夏(6月から8月の3ヶ月間)になりました。
2016年8月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)Credit: NASA
永久凍土がとけたことによって炭疽病が流行したロシアのシベリア西部(ロシア北部の濃い赤の部分)の気温は高いままですが、これまで数か月気温が高かった南極半島部分の気温が下がり、暖かい場所が東へ移動しているのが気になります。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)Credit: NASA
今年1月から8月までの世界平均気温を最も暖かかった6年と比較すると、2月の+1.33℃をピークに6月には+0.78℃まで下がった気温が、その後7月に+0.84℃、そして8月は+0.98℃と再上昇したため、上のグラフで見ると気温の下降ペースが緩やかになっています。
これは、エルニーニョ現象終息後に発生するはずだったラニーニャ現象が発生していない(日本の気象庁はすでにラニーニャが始まっていると発表していますが、米海洋大気局はラニーニャ発生の見込みはないと発表しています)ためと考えられています。
ラニーニャの影響を受けないとなると、もしかすると今後は気候変動の影響でさらに気温が上昇するかもしれません。
もうやめて。
Credit: NASA
また、先月の記事で「通常は7月が1年で最も暑い月であることから、少なくともNASAが観測を開始した1880年以降において、人類は観測史上最も暑い1か月間を過ごした」と書きましたが、8月もその7月と並んで人類が経験した最も暑い1か月だったそうです。
もうやめて。
Prospects for a record 2016 given Jan-Aug data remain v. high (> 99%) pic.twitter.com/tnaeL0yIbA
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) September 12, 2016
そして最後に、毎月恒例になったNASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者ギャビン・シュミット氏による「2016年が最も暑い年になる確率予測」です。8月が終えた時点で昨年を上回って今年が観測史上最も暑い年になる確率は、99%以上(>が加わりました)です。
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