「気候はずっと変動してきた」という否定派の根強い言説に対しウェブコミック著者の描いたグラフが話題に

  「気候はずっと変動を続けてきた。なぜ今さら心配する必要があるんだ?」

  人為的気候変動否定派がよく使う言葉です。

  最初の文は事実です。気候は常に変動してきました。軌道の変化や地球の傾き、振動の変化、火山の噴火などによって気候は大きくも小さくも変動します。氷期になれば4℃から7℃気温が下がり、最終氷期末期だった約2万年前、米マサチューセッツ州ボストンは1.5km以上の厚さの氷に覆われ、ニューヨークの近くまで氷床は達していました。

  そして現在は産業革命以降に人類が排出した二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスによって、気温の上昇が続いています。二酸化炭素の排出は過去6600万年で最速のペースで進み、現在の気温上昇ペースは過去1000年で最速と米航空宇宙局(NASA)は指摘、海面上昇のペースは過去2800年で最速です。このままなにもせずに今の生活を続けると、次の氷河期はキャンセルされるかもしれません。

  気候は変動を続けてきましたが、最終氷期が終わり、人類による文明が栄えるようになってから、こんなに急激に気候が変動したことはありません。おおいに心配する必要があるのです。

  「気候は以前にも変動したことがある。」という否定派たちの声に、アメリカのウェブコミック「xkcd」の著者であるランドール・マンロー氏が長さ約15,000ピクセルにおよぶ、地球の平均気温を縦長で表したグラフを公開して話題になっています(著者のサイトで画像にマウスオーバーすると表示される言葉も皮肉が効いています)。

  まずはGIFアニメでそのグラフを流し見してもらって、グラフは著者のサイトか、この記事の一番最後に見てもらえればと思います(長すぎるので最後の方がいいかなと)。

Global Temp Timeline by xkcd.gif

  グラフは、通常とは逆で横軸を気温に、縦軸を時間にして、最終氷期が終わる前の紀元前2万年から現在までの気温の移り変わりを、地球上で起こった様々なイベントを交えながらおもしろおかしく描いています。

  これまた否定派がしたり顔で言う「気温上昇の方が二酸化炭素の上昇よりも先だったことがあるから二酸化炭素が原因というのは嘘」が嘘である理由もこのコミックに描かれています(短く説明すると、氷期の終わりから間氷期に入るときには太陽エネルギーが徐々に大きくなり、海水温が上昇して二酸化炭素が放出されることによって気温が上昇する正のフィードバックが起こり、その影響で氷がとけ、とけた氷や凍土から二酸化炭素が排出されてさらに気温上昇が加速します)。

  あと、このコミックで描かれている約22,000年にわたる気温の大半は、古気候と呼ばれる、年輪や氷床、珊瑚などに含まれる化学物質から算出されているため、産業革命以降(英気象庁で1850年以降、米気象機関は1880年以降、日本の気象庁は1890年以降)の実測データと比較すると信頼性は低くなります。また、変化は実際よりも多少なめらかになっていることを留意してもらえればと思います。

  でも、このコミックのポイントは、気候は過去からずっと変化してきたけど、産業革命以降の温室効果ガスの大量排出による人為的な気候の変化は、最終氷期以降の人類が経験したことのない急激なものだというところです。

  では、タイムラインは英語で書かれていますが、難しい単語も少なくわかりやすいので、気温の変化と一緒に各時代にどんなことが起こったのかもあわせて楽しみながら、スクロールダウンしてください。


にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック