世界平均気温は2014年、2015年と2年連続で過去最高を更新中で、今年も米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気局(NOAA)のデータではすべての月で観測史上最高を記録しており、NASAゴッダード宇宙研究所のギャビン・シュミット氏は、99%以上の確率で昨年を上回って今年が最も暑い年になると指摘しています。
そのシュミット氏が、今年末の世界平均気温に加え、来年(2017年)の気温も予測してデータジャーナリズムサイト「ファイブサーティーエイト(FiveThirtyEight)」に寄稿しています。
シュミット氏は、火山の噴火やエルニーニョ南方振動(ENSO)などの自然変動の影響を受けるものの、長期間積み重ねられてきたデータから来年の気候を予測するのは難しいことではないとし、エルニーニョとラニーニャの指数から2016年と2017年の世界平均気温が19世紀末(1880年~1899年)と比較してどれくらい高くなるかを算出しています。
ENSO(エルニーニョとラニーニャ)が世界平均気温に与える影響。横軸は12月と1月のENSO指数。縦軸はENSO指数に対する長期的な気温の傾向。Source: FiveThirtyEight
これは、世界平均気温がエルニーニョとラニーニャの影響をどれくらい受けるかを表したグラフです。12月と1月のENSO指数と火山噴火の有無が気温の変化にどれくらい寄与したかを見ることができます。
今年を見ると、エルニーニョの影響で0.14℃の気温上昇が見込まれていました。これに気候変動による長期的な気温上昇寄与分を加えると、19世紀末と比較して1.16℃気温が高くなるはずだったとシュミット氏は指摘しています。
この数値は年初のENSO指数のみから予測されたものですが、シュミット氏はこれに7月までの実測データを加えて、今年末までの世界平均気温と、現在ENSOモデルが予測している今年12月から来年2月までのENSO指数から、2017年の予想世界平均気温をシミュレートしています。
2016年当初に予測した2016年の世界平均気温の偏差(青)。2016年7月までのデータを加味した2016年の世界平均気温予測の偏差(紫)。今年12月と来年1月のENSO指数から予測した2017年の世界平均気温の偏差(緑)。偏差の基準年は1880年から1899年。Source: FiveThirtyEight
その結果、2016年は1880年から1899年の世界平均気温よりも1.25℃高くなり、昨年を大きく上回る観測史上最高を記録すると予測しています。
また、来年の世界平均気温は、19世紀末よりも1.04℃高くなるという結果が出ています。グラフを見ればわかるとおり、この値は今のところ観測史上最高を記録した2015年と、2015年に破られるまで観測史上最高だった2014年のちょうど中間くらいです。
つまり、2017年は、異常な暑さの今年と、今年よりも少し異常じゃない暑さだった2015年に次いで暑い年、観測史上3番目に暑い年になるとシュミット氏は予測しているわけです。
要するに、来年も暑いということです。
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