2016年8月の世界平均気温は、米航空宇宙局(NASA)が観測史上最高で、日本の気象庁は観測史上2番目だったと発表しました。そして今日、米海洋大気局(NOAA)は8月の世界平均気温が同月として観測史上最高を記録し、昨年5月から続いている各月の観測史上最高記録の更新は16ヶ月連続にのびたと発表しました。また、今年の夏(6月から8月の3ヶ月間)と、今年に入ってから8月までの8ヶ月間も、それぞれ観測開始以来最も異常な暑さとなっています。
2016年8月の世界平均気温の偏差(基準は20世紀)。単位は左側が摂氏、右側が華氏。Credit: NOAA
2016年8月の世界平均気温は16.52℃で、20世紀と比較して0.92℃高く、これまで最も偏差が大きかった昨年を0.05℃上回って観測史上最も暑い8月となりました。これによって、2015年5月以降、1880年の観測開始以来最長となる16ヶ月連続で各月の世界平均気温は最高記録を更新しています。
また、6月から8月までの3ヶ月間の平均気温は昨年を0.04℃上回り、観測史上最も暑い夏になりました。これで、昨年の夏から秋、冬、春、そして今年の夏と5シーズン連続で観測史上最も異常な暖かさ(暑さ)となっています。
2016年を含むそれ以前の観測史上最も暖かかった8年の各月までの偏差(基準は20世紀の平均気温)の平均。破線はエルニーニョ現象が発生した翌年。
1月から8ヶ月間の世界平均気温の偏差は+1.01℃と、昨年の同期間を0.16℃上回って観測史上最高を記録し、1880年以降で最も異常に暖かい年初からの8ヶ月間になりました。
まあ、もうとにかく異常だということです。
これで主要3気象機関(NASA、日本の気象庁、NOAA)による8月の世界平均気温が揃いました。今年に入ってから観測史上最高を記録しなかったのは、気象庁の5月と8月だけで、その他の月はすべて過去最高を更新しています。
3機関のデータが揃ったところで、産業革命前(に最も近い30年間:1891年から1920年)から8月までに何度気温が上昇しているのかをアップデートしておきましょう。
NASA、気象庁、NOAAを統合した各月までの世界平均気温の偏差(基準年は1891年から1920年。単位は℃)。赤い横線はIPCCがパリ協定で努力目標とした2100年までの気温上昇1.5℃のライン。
なかなかラニーニャが始まらない/始まっても影響が小さいため(気象庁は始まったと発表)、気温の低下ペースが鈍っており、8月を終えた時点での産業革命前からの気温上昇は1.26℃と思ったより下がっていません。
3月に+1.44℃まで迫ってからは、気温は緩やかに下降しています。今後もこの傾向は続くと予測されているため、年間を通して1.5℃のラインを超えるようになるにはまだ何年もかかると思いますが、まだまだと言いながら、ハワイ州マウナロア観測所の二酸化炭素濃度はほぼ通年で400ppmを超えるようになった(ハリケーンの影響で一時的に400ppmを切りましたが)ので、気がつけば1.5℃のラインを突破していたなんてことになるのだろう思います。
目安としては、直近30年間における10年あたりの気温上昇が0.16℃であることから、同じペースで気温が上昇すると仮定すれば20年以内に1.5℃のラインを超えることになります。しかし、過去30年よりも気温上昇のペースは加速すると考えられているため、2030年までには超えてしまうでしょう。
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