先日、インドとEUが10月初旬の批准を表明したことで年内の発効が確実視されていた「パリ協定」ですが、その後、インドやEU諸国をはじめニュージーランドなどが協定を批准し、10月5日現在で「55カ国以上の批准」と「世界の温室効果ガス排出量の55%以上を占める」というふたつの条件を満たしたため、11月4日に発効することが決まりました。
2016年10月5日現在のパリ協定の批准状況。Source: UNFCCC(国連気候変動枠組み条約)
10月5日現在で、73か国がパリ協定を批准し、それらの国の温室効果ガス排出量の合計が56.87%となり、批准国数と排出量の条件を満たしたため、協定は30日後の11月4日に自動的に発効されます。
これにより、当初は疑問視する人も少なくなかった年内の発効はおろか、11月7日から18日までモロッコのマラケシュで開催される「国連気候変動枠組み条約第22回締約国会議(COP22)」を前にパリ協定の発効が決まり、今後の流れに勢いをつけることができそうです。
しかし、気候変動問題への国際的な取り組みとしては最も簡単な手続きが終了しただけであり、これからはそれぞれの国が努力目標を実行に移し、5年ごとにさらに野心的な目標を設定し、達成を目指していくことになります。法的拘束力も罰則規定もない目標を達成し続けるのは容易なことではありません。たとえそれがパリ協定で目標と定めた「2℃未満」を達成できないレベルのものであったとしても。
パリ協定の発効が象徴的なもので終わるかどうかは、各国の今後の努力にかかっています。
ところで日本はというと、COP22で行われる締約国会合に参加するための締切日である10月19日までに批准する見通しすら立っておらず、世界の流れから完全に外れて遠い場所でプカプカ浮いていますが、 いったいどこに辿り着くつもりなのでしょうか。
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