約1か月前の記事で、日本の気象庁はラニーニャ現象が発生していると発表し、米海洋大気局(NOAA)は監視レベルを引き下げ、ラニーニャが発生する可能性は低いと発表していることについて解説しました。
Credit: CPC/IRI
しかし、ここにきてNOAAが再び監視レベルを引き上げ、今秋にラニーニャ現象が発生する確率を71%と発表しています(上のグラフを参照)。ただし、もしもラニーニャ現象が発生したとしても、冬の間にニュートラルの状態に戻るだろうとNOAAは述べています。
Credit: NOAA
上の図のように、エルニーニョ現象の条件のひとつである「ニーニョ3.4海域の平均海表面温度の平年との偏差が-0.5℃よりも低い」は短期間(週平均)ではあるもののクリア(2016年10月10日-0.9度)しています。
ラニーニャ現象時のウォーカー循環。Credit: NOAA
しかし、前回の記事で解説した「ウォーカー循環(上図参照)」と呼ばれる赤道太平洋上における大気の循環が、9月末からラニーニャ現象時の特徴(太平洋西岸のインドネシア付近が通常より高温になるため大気の上昇気流も強くなり、強い偏西風となって上空を流れ、太平洋東岸で通常よりも速い流れで沈み込み、太平洋東岸から強い貿易風となって西岸へ流れるため、東岸から赤道太平洋中央付近の海表面温度と浅い範囲の海水温度が下がり、インドネシア付近の海表面温度は高くなる。ウォーカー循環が強いと中央太平洋で降水量が少なく、インドネシア付近で降水量が多くなる)に近づいてきているものの、まだニュートラルの範囲内であるため、まだラニーニャ現象が発生しているとはいえないそうです。
コンピュータモデルによると、発生したとしても冬の間も続く確率は54%と低く、海表面温度の偏差も今後大きく下がる見込みもないため、極めて弱いラニーニャ現象になる可能性が高くなっています。
来月(2016年11月)の発表時には、ラニーニャ現象が発生しているのかどうかがわかる見込みです(日本の気象庁によるとラニーニャはすでに発生していて、冬の間も続く確率が60%ですが)。
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