米航空宇宙局(NASA)の最新データによると、2016年9月の世界平均気温は同月として過去最高となり、これで昨年10月以降の12か月中11ヶ月で各月の観測史上最高記録を更新しています。

1880年から2016年までの9月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における9月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。
9月の世界平均気温の偏差(1951年から1980年が基準)は+0.91℃と、2014年に記録した+0.90℃をわずかに上回り、同月としては観測史上最高となりました(統計学上はタイ記録)。これにより、昨年10月から12か月のうち11ヶ月で各月の過去最高を更新しています。
先月の発表の時点では、昨年10月から8月まで11か月連続で過去最高を更新となっていましたが、NASAが南極における6月の平均気温のデータを分析した結果、-0.05℃のデータ補正を行ったため、6月は2015年と1998年に次いで観測史上3番目の暑さになったと述べています。
2016年9月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)Credit: NASA
これまでの傾向と変わらず、北半球の中緯度から高緯度地域にかけて気温が高くなっているほか、南極大陸西部の南極半島周辺の気温が著しく高くなっています。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)。NASAのGISSデータより作成。
9月を終えた時点で1951年から1980年までの平均気温よりも1.03℃高く、昨年の同時期を0.23℃上回っています。このグラフも見慣れてきましたが、過去最も暑かった6年と比較してこれだけの差を保ち続けているのは異常です。
今後仮にラニーニャが発生したとしてもその影響はわずかしかないと予測されているため、昨年を上回る可能性はますます高くなってきました。
しかし、今年中に観測史上最高の平均気温を更新するのは9月が最後だと思われます。昨年は10月以降にエルニーニョの影響から気温が高くなり、10月から12月までの各月の偏差は+1.07℃、+1.03℃、+1.11℃と大きな値になりました。今後+0.91℃まで小さくなった偏差が、ラニーニャが発生、もしくはそれに近い状態で急上昇する可能性は低いでしょう。
With data now available through September, 2016 annual record (~1.25ºC above late 19th C) seems locked in. pic.twitter.com/Btp3Vutakn
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) October 17, 2016
さて、最後に毎月恒例のNASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者ギャビン・シュミット氏による「2016年が最も暑い年になる確率予測」を確認してみましょう。シュミット氏は、9月を終えた時点で昨年の記録を上回って今年が観測史上最も暑い年になるのは「確定したと思われる」と述べています。
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