日本の気象庁に続き、米航空宇宙局(NASA)も2016年10月の世界平均気温を発表しました。それによると、10月の世界平均気温は同月として観測史上2番目の高さとなり、これで昨年10月以降の13か月中11か月が各月の観測史上最高を更新しています。
1880年から2016年までの10月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における10月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。
10月の世界平均気温の偏差(1951年から1980年が基準)は+0.89℃で、エルニーニョの影響を受けて異常だった昨年(2015年)の+1.07℃に次いで同月としては観測史上2番目となりました。これによって、昨年の10月からの13か月中、11か月で各月の過去最高を更新しています。
2016年10月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)Credit: NASA
これまでの傾向と比較すると、平年よりも暖かかったヨーロッパ大陸とカナダ西部の気温が下がっています。しかし、10月に入ってから北極圏の気温が異常に高くなったため、北極海の海氷面積の拡大が著しく遅くなっています。この傾向が続くと、海氷の冬の最大面積が過去最小になる可能性が高くなります。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)。NASAのGISSデータより作成。
10月を終えた時点で1951年から1980年までの平均気温よりも1.01℃暖かく、観測史上最高を記録した昨年をまだ0.187℃上回っています。
やっとラニーニャ現象が発生しましたが、発生時期の遅さと勢力の弱さもあってその影響は極めて小さいと思われるため、今年が昨年を上回る観測史上最も暑い年になることを疑う余地はありません。
No surprise here, planetary warming does not care about the election. Now including October data. pic.twitter.com/SEUbaNRaxT
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) November 15, 2016
さて、最後に毎月恒例になっているNASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者ギャビン・シュミット氏による「2016年が最も暑い年になる確率予測」を確認しておきます。シュミット氏は、人為的気候変動を嘘だと言い続けているドナルド・トランプが大統領選挙に勝ったことを揶揄し、「(この予測結果に)驚きはない。地球温暖化に大統領選挙は関係ない。」とツイートしています。その中で今年が昨年を上回る確率には触れていませんが、もう触れるまでもないということでしょう。
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