気象庁に続いて、米航空宇宙局(NASA)による2016年11月の世界平均気温が発表されました。それによると、11月の世界平均気温は、同月として観測史上2番目の高さとなり、昨年10月以降の14か月のうち11か月で各月の観測史上最高を更新しています。
1880年から2016年までの11月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における11月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。
11月の世界平均気温の偏差(1951年から1980年が基準)は+0.95℃で、エルニーニョの影響により急激に気温が上昇した昨年(2015年)の+1.02℃に次ぐ観測史上2番目の大きさとなりました。これによって、昨年の10月以降の14か月中、11か月が各月の過去最高を更新しています。
2016年11月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)Credit: NASA
もう、とにかく北極圏の暖かさが異常です。上の世界地図で北極圏と南極大陸の南端に広がっている濃い赤の部分が極端に暖かかった地域なのですが、地図の下にあるバーを見ると、最も濃い部分の偏差が4℃以上となっているため、実際には平年よりも平均気温が何度高かったのかはわかりません。これとは別にNASAが提供している緯度別の偏差の大きさを表すグラフを見れば、北極圏の異常な暖かさを確認できます。
2016年11月の世界平均気温偏差の緯度別グラフ(基準は1951年から1980年。Zonal Meanの単位は℃。グラフ横軸の目盛りのマイナスは南半球、プラスは北半球)。Credit: NASA
北緯75度以北における平年との偏差が10℃を上回っています。この時期の北極圏は太陽の光をほとんど受けないのに、海氷が増えるどころか減少する異常事態も起こっています。北極圏の異常さが際立っているため、南極の暖かさがかすんでいますが、それでも南端では平年よりも4℃気温が高くなっています。南極でも北極と同じく海氷が減少しており、両極地域を合わせて観測史上最も海氷面積が小さい月になりました。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)。NASAのGISSデータより作成。
11月を終えた時点で、1951年から1980年までの平均気温と比較して1℃暖かくなっており、観測史上最高を記録した昨年の気温を0.17℃上回っています。昨年の記録を下回るためには、12月の平均気温が平年よりも0.76℃以上低くなる必要がありますが、実際にそんなことが起こるとは考えられないため、2016年が昨年を上回って観測史上最高を記録するのはもう間違いありません。もしそうなれば、世界平均気温は3年連続で観測史上最高を更新することになります。
Might not feel like it today, but 2016 will be the warmest year in the surface temperature records, 1.2ºC/2ºF above the late 19th C pic.twitter.com/npGM1741Vf
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) December 15, 2016
さて、今年最後のNASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者ギャビン・シュミット氏による「2016年が最も暑い年になる確率予測」ですが、最近の寒さがそう感じさせないかもしれないと前置きしたうえで、2016年が19世紀後半の平均を1.2℃上回って過去最高を記録すると述べています。
現時点では、観測史上最高を記録するのが確実となった2016年の世界平均気温よりも、北極圏の異常な暖かさが今後どうなるのかの方が気になるところです。
この記事へのコメント