2016年は、2015年に始まったエルニーニョ現象の影響が加わったこともあり、昨年と一昨年を上回って3年連続で観測史上最高気温を更新することが確実になりました。また、2015年12月に200か国近くが合意した「パリ協定」が発効するなど、気候変動関連の話題に事欠かない年でもありました。
2016年にこのブログで最も読まれた記事5本と共に、今年を振り返ってみようと思います。
これは2015年に書いた、英気象庁が毎年発表している翌年の気温予想についての記事でした。この記事へのアクセスが最も多かったのは記事内容のシンプルさもあって意外でしたが、それだけ2016年はどうなるんだ?どうなってるんだ?という疑問を持つ人が多かったのでしょう。ちなみに、別記事にする予定ですが、英気象庁の予想によると、2017年の世界は2016年と2015年に次いで観測史上3番目の暑さになるそうです。
つまり、2017年も暑いということです。
2位:ダコタ・アクセス・パイプライン関連記事
居留区付近で水源である川を横切るパイプライン建設に反対して、米先住民が数か月にわたって行っている抗議活動の行方をまとめてきた一連の記事(「パイプライン建設に先住民が抗議の座り込み 環境正義問題へと発展」「【アップデート】ダコタ・アクセス・パイプラインに一時的な建設中止命令」「米連邦3省庁がダコタ・アクセス・パイプライン建設の一時中止を発表」「先住民によるダコタ・アクセス・パイプラインの建設中止を求める訴えが棄却 一部で建設再開へ」「ダコタ・アクセス・パイプラインの現行ルートをオバマ政権が却下 ルート変更へ」「ダコタ・アクセス・パイプラインのルート変更決定は来年2月まで持ち越しへ」)に注目が集まったのも意外でした。環境正義/気候正義問題に関心が集まったのだとは一概に言い切れないのかもしれませんが、ただ共感するだけでなく、一部の社会的弱者に対する差別や不公正、理不尽の押しつけが僕たちの生活と直接繋がっているのだという認識を持って、自分たちの生活を見直すきっかけになれば、先住民グループがたたかっている意味も出てくると思います。
検索ワードでも「氷河期」が多くてこれも意外だったのですが、ネット上でもよく「もう氷河期に入っている」とか「温暖化ではなく寒冷化に向かっている」「もうすぐ氷河期がくる」などという科学的根拠を伴わない嘘が出回っているので、情報を求める人が多いのかもしれません。ここでもう一度ハッキリしておくと、氷河期(正確には「氷期」)には入っていませんし、今後も入らないですし、次の氷期は人為的気候変動によってキャンセルされる可能性が高いです。
シェールブームをきっかけに、フラッキング(水圧破砕法)という言葉を見聞きする機会が増えたのと、フラッキングがオクラホマ州などで起こっている地震の原因になっているというニュースをきっかけにフラッキングに興味を持つ人が増えたのかもしれません。今後も、地震だけでなく、水質汚染や大気汚染、騒音などによる健康被害など様々な研究結果が発表され、フラッキングが環境や健康に与える影響の解明が進んでいくと思われます。
気候変動問題でよく見聞きする「2℃未満」という数値について、いったいどこからきたのか、いつから2℃未満なのかなど、どうすれば2℃未満に抑えることができるのかなど、素朴な疑問を抱く人は多いと思います。この記事以外にも、1.5℃と2℃の壁を超えてしまうのを確実にする分の炭素を排出するのはいつ頃になるのか、産業革命前からの気温上昇を1.5℃/2℃未満に抑えるためにはどうすればいいのかなどについても取りあげました。2016年前半には一時的に1.5℃の壁を上回ってしまうなど、現状のままでは2℃未満の達成すら夢のまた夢という状況ですが、今後も炭素収支や気候感度などの研究結果やデータ分析に注目していきたいと思います。
複雑な気候変動の科学や、気候正義や環境正義問題に関する日本語の情報量があまりにも少なく、内容も乏しいことから、少しでも多くの方に知ってもらおうと始めたこのブログも、開設から1年以上が経ちましたが、2017年は明るいニュースが多い年になってほしいものです(望み薄)。
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