2016年はやっぱり観測史上最も暑い年だった 米航空宇宙局と米海洋大気局

  先日、日本の気象庁から2016年の世界平均気温は過去最高だったと発表がありましたが、今日(米時間1月18日)、米航空宇宙局(NASA)米海洋大気局(NOAA)も、2016年が1880年の観測開始以来最も暑い年になったと発表しました。

○ 12月の世界平均気温
  NASAのデータによると、2016年12月の世界平均気温は、平年(1951年から1980年)との偏差が+0.81℃と、2015年の+1.11℃に次ぐ観測史上2番目の暑さとなりました。
  一方、NOAAのデータでは、平年(1901年から2000年)よりも0.79℃高く、2015年の1.12℃と2014年の0.83℃に次いで観測史上3番目に暖かい12月でした。

○ 2016年の世界平均気温
NASA GISSTEMP Global Mean Estimates based on Land and Ocean Data 2016.png
1880年から2016年までの世界平均気温の偏差。黒線は各年における平均気温。赤線は平均気温を平滑化したもの(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。Source: NASA

  まず、NASAの発表によると、2016年の世界平均気温は1951年から1980年の平均よりも0.99℃高く、2015年を0.13℃上回って観測史上最高を記録しました。

NASA Temp Anomalies Comparison with Previous Records 2016-12 JP.jpg
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)。NASAのGISSデータより作成。

  2016年の世界平均気温が観測史上最高を記録したことにより、過去最高の更新は2014年から3年連続となりました。上のグラフは、過去に最も暑かった6年と2016年の平均気温の偏差を比較したものですが、2015年と2016年の暑さが際立っています。また、21世紀に入ってからの16年のうち、2008年を除くすべての年が平均気温上位16番目までに入っており(エルニーニョ現象の2年目だった1998年が9位で例外)、気温が上昇傾向にあることを表しています。

  下のグラフは、1880年以降の各月の世界平均気温をGIFアニメーションにしたものです。

2016 gistemp update black resized.gif
Source: NASA

  また、NASAは地球のどの地域でどれくらい気温が上昇しているのかをわかりやすく説明している動画もあわせて公開しています。


  2015年と2016年の世界が異常な暖かさになった要因としてエルニーニョ現象の影響が挙げられますが、NASAゴッダード宇宙研究所のギャビン・シュミット氏は、2015年と2016年の世界平均気温に対するエルニーニョの寄与分がそれぞれ0.05℃と0.12℃だったため、たとえエルニーニョの影響を受けなくても、両年が共に観測史上最も暑い年になったであろうと分析しています。

NOAA Annual Global Land and Ocean Temperature Anomalies 2016.jpg
1880年から2016年までの世界平均気温の偏差(基準年は1901年から2000年。単位は℃)。黒線は世界平均気温偏差。赤線は5年ごとの移動平均。Source: NOAA

  続いてNOAAによるデータでは、2016年の世界平均気温は20世紀の平均よりも0.94℃高く、2015年を0.04℃上回って観測史上最も暑い年となりました。

NOAA Temp Anomalies Comparison with Previous Records 2016-12 EN.jpg
2016年を含む観測史上最も暖かかった8年の各月までの偏差(基準は20世紀の平均気温)の平均。破線はエルニーニョ現象が発生した翌年。

  NOAAのデータでも、NASAと同じく2014年から3年連続で観測史上最高の世界平均気温を更新しています。また、21世紀に入ってから観測史上最高記録を更新したのはこれで5度目となっています。NOAAのデータを見ると、2001年以降の16年が上位17位まで(例外は1998年の8位)を占め、最も暖かい5年間が2010年以降に集中するなど、世界平均気温の上昇傾向が顕著になっています。


  NOAAによるこの動画は、観測が始まった1880年以降の世界各地における平均気温の変化を、平年(1901年から2000年)と比較したものです。近年の気温上昇がよくわかります。


  気象庁とNASA、NOAA以外にも、EUや英気象庁(上のツイートに添付されているグラフの「Hardley Center/Climatic Research Unit」)、米カリフォルニア大学バークレー校(同「Berkeley Earth」)なども2016年の世界平均気温のデータを公開していますが、そのすべてで観測史上最高を記録しました。

  英気象庁とNASAのシュミット氏は、エルニーニョ現象の影響を受けない2017年は2016年と2015年に次いで観測史上3番目の暑さになると予測していますが、極端な気象現象による被害につながりかねない短期的な気温の変動とともに、未来の世代が生きる世界を決めることになる、長期的な傾向としての世界平均気温の推移が気になるところです。

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