約1年にわたり反対運動が続けられてきた、米先住民スタンディングロック・スー族の居留区近くを流れるミズーリ川に造設されたオアへ湖の地下を横切るルートでのダコタ・アクセス・パイプライン建設について、トランプ政権が2月8日に最終的な認可を与えましたが、先住民側はすぐにその判断を不服として連邦地裁に建設の一時停止を求めていました。
※ ここまでの話は以下のリンクから
◆ パイプライン建設に先住民が抗議の座り込み 環境正義問題へと発展
◆ 【アップデート】ダコタ・アクセス・パイプラインに一時的な建設中止命令
◆ 米連邦3省庁がダコタ・アクセス・パイプライン建設の一時中止を発表
◆ ダコタ・アクセス・パイプライン建設に出資している銀行 ~ 環境差別に手を貸す金融機関
◆ 先住民によるダコタ・アクセス・パイプラインの建設中止を求める訴えが棄却 一部で建設再開へ
◆ ダコタ・アクセス・パイプラインの現行ルートをオバマ政権が却下 ルート変更へ
ダコタ・アクセス・パイプライン建設後に石油流出事故が起こって神聖な水が汚されるのは、先住民の「宗教の自由回復法」に反する行為であるとして、すでに建設中止を求めている他の訴えが結審するまでの期間、建設を一時的に停止するよう、スタンディングロック・スー族にシャイエン・リバー・スー族も加わって訴えを起こしていましたが、ワシントンの連邦地方裁判所のジェームズ・ボアズバーグ判事は2月13日、先住民側がパイプライン建設による修復不可能な損失を受けることを示せなかったとして、その訴えを退けました。
オバマ前大統領に任命されたボアズバーグ判事は、昨年9月にもスタンディングロック・スー族がダコタ・アクセス・パイプラインの建設停止を求めた訴えを、連邦政府の先住民に対する痛ましい歴史を認めつつも安全性に問題はないとして棄却していたため、今回の決定に意外性はありません。
一方で、判事はエナジー・トランスファー・パートナーズ社に対し、最短で30日以内に完成する見込みがあるパイプライン建設の進行状況について、週に一度先住民側に報告するよう命令し、さらに今後の展開次第で裁判所の姿勢が変わる可能性があることも示唆しています。
今回のボアズバーグ判事による決定を受けて、環境団体「アース・ジャスティス」の弁護士でありスタンディングロック・スー族のアドバイザーを務めているジャン・ハッセルマン氏は、国家環境政策法や水質汚染防止法、行政手続法に基づいた新たな訴訟を考えていると述べており、パイプライン建設を巡る法廷闘争はまだ始まったばかりと言えます。
パイプライン建設の仮差し止め命令を出すかどうかを決める次回の公聴会は、2月27日に行われる予定です。
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