【NOAA】 2017年1月の世界は観測史上3番目の暖かさ

  米航空宇宙局(NASA)は観測史上3番目、日本の気象庁の速報値では同2番目の暖かさだったと発表があった2017年1月の世界平均気温ですが、米海洋大気局(NOAA)のデータでは観測史上3番目に暖かい1月になりました。

NOAA Global Land and Ocean Temperature Anomalies 2017-01.jpg
2017年1月の世界平均気温の偏差(基準は1981年から2010年。単位は℃)。Credit: NOAA

  2017年1月の世界平均気温は20世紀の平均を0.88℃上回り、1月としては2016年(偏差+1.06℃)と2007年(+0.89℃)に次いで138年間の観測記録の中で3番目の暖かさとなりました。

Land and Ocean Temp Departure from Average 201701.gif
2017年1月の世界各地における平均気温の偏差を表した地図(基準は1981年から2010年。単位は℃)。Credit: NOAA

  1月は米本土の東部、東アジア、カナダなどで20世紀平均よりも温かくなりました。特に、カナダの広い範囲で20世紀の平均気温よりも3℃以上高くなり、北部など一部の地域では5℃以上高い平均気温を記録しました。

  逆に、ニュージーランドやオーストラリア西部、米西海岸や西ヨーロッパ、アフリカ北西部では平均気温を下回っています。特に、米北西部とヨーロッパ中部では、20世紀の世界平均気温を3℃以上下回る地域もありました。

  日本の気象庁、NASA、そしてNOAAによる1月の世界平均気温がそろったところで、産業革命前(に最も近い温度計による計測データ。基準年は1891年から1920年)と比較して、それぞれの気象機関及び3機関を統合した世界平均気温が1月までにどれくらい上昇しているかを見ておきましょう。

NASA_NOAA_JMA_Combined Temp Anomalies Table to 1891-1920 as of 201701.jpg
各気象機関と3つの機関を統合したそれぞれの月までの世界平均気温の偏差(基準年は1891年から1920年。単位は℃)。月平均は各月の世界平均気温の偏差。累計はその年における各月までの平均気温の偏差(6月ならば1月から6月までの偏差の平均)。

  上の表を見ると、1891年から1920年までの30年間と比較して、今年1月までにNASAは1.27℃、NOAAは1.16℃、気象庁は1.1℃世界平均気温が上昇しています。強いエルニーニョ現象の影響を受けて気温が著しく上昇した昨年前半は、3機関を統合したデータで月平均気温が1.5℃を超え、累計でも1.5℃に迫る勢いでしたが、エルニーニョが終息し、弱いラニーニャの影響を受けている今年は、産業革命前よりも約1.2℃の気温上昇となっています。

  パリ協定の目標である産業革命前から2100年までの気温上昇「2℃未満」までは約0.8℃、努力目標である「1.5℃未満」まではあと約0.3℃しか余裕がないことになります。NOAAのデータでは、1986年から2015年までの30年間において、10年ごとに世界平均気温が約0.16℃上昇しているため、このままのペースで気温が上昇すれば、20年以内に1.5℃、50年後には2℃の壁を超えてしまうことになります。

  だからこそ、早急な気候変動対策が必要なのです。

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