2月のアメリカが極端に暖かかったことを示すデータ  日毎の最高気温の記録更新数が最低気温の記録更新数の64倍

  2017年2月のアメリカは、広い地域で異様に暖かい期間が数回にわたって訪れたため、各地で日毎の最高気温が観測史上最高を更新する一方で、日毎の最低気温の記録更新が少ない、極端な気候となりました。

  クライメート・セントラルによると、2月22日までの時点では、日毎の最高気温が過去最高を記録したのが3,146件だったのに対し、日毎の最低気温が過去最低を更新したのは27件と、その比率は116対1という偏った結果でした。

Record Highs vs Lows To Date Feb 2017.jpg
2017年2月1日から22日における、日毎の最高気温の記録更新数対日毎の最低気温の記録更新数の比較。Credit: Climate Central

  気候が安定している場合、この比率は1対1に近い値を示すため、最高気温の更新が最低気温の更新の116倍もあるのは異様です。

  その後、2月末の時点までにどう変化したのかを見てみましょう。

201702 US Daily Highest Max Temp Broken.jpg
201702 US Daily Lowest Min Temp Broken.jpg
(上)2017年2月のアメリカにおける日毎の最高気温の記録更新数。(下)2017年2月のアメリカにおける日毎の最低気温の記録更新数。Credit: 米国立環境情報センター(National Centers for Environmental Information)

  2月1日から28日までに、アメリカで日毎の最高気温が5,040回更新されたのに対し、最低気温が過去最低を記録したのは79回で、その比率は64対1でした。最後の1週間は気候が安定したために比率は下がりましたが、それでも最高気温の更新が64倍もあるのは極端すぎます。

  次に、月間の平均最高気温が観測史上最高を記録した件数と、月間の平均最低気温が過去最低を記録した件数を比較してみます。

201702 US Monthly Highest Max Temp Broken.jpg
201702 US Monthly Lowest Min Temp Broken.jpg
(上)2017年2月のアメリカにおける月平均最高気温の記録更新数。(下)2017年2月のアメリカにおける月平均最低気温の記録更新数。Credit: 米国立環境情報センター(National Centers for Environmental Information)

  2月の月平均最高気温が過去最高を記録したのは453件で、月平均最低気温が過去最低を更新したのは1件と、比率にして453対1という結果でした。この数値だけでも、アメリカでは極端に暖かい地域が多かったことがわかります。

  今年に入ってから3月2日までに日毎の最高気温が8,701回過去最高を記録したのに対し、日毎の最低気温が観測史上最低を更新したのは1,274回で、その比率は6.8対1でした。また、2月までに765件の月平均最高気温の更新があったのに対し、月平均最低気温が観測史上最低を記録したのは49件で、比率は15.6対1でした。

  データの対象期間が長くなればこの比率は小さくなり、気候が安定すれば(温暖化していなければ)この比率は1対1に近い数値を示します。日毎の最高気温の過去最高更新頻度が、最低気温の過去最低更新頻度よりも高くなればなるほど、気候変動による温暖化が進んでいるといえます。

  しかし、短期的に極端な数値を示すことは大きな問題ではありません。気温の上昇と同じで、重要なのはあくまでも長期的な傾向です。30年以上にわたってこの比率に上昇が見られれば、温暖化が進んでいる証拠になります。

US High Temp Records vs Low Temp Records.png
1950年から2009年9月までに、米本土の1,800地点で収集した気温データによる、日毎の最高気温の記録更新と最低気温の記録更新の比率。Credit: 大気研究大学連合(UCAR)

  米大気研究大学連合(UCAR)の調査によると、1960年代と70年代には日毎の最低気温が過去最低を記録する頻度の方が高かったのに対し、80年代から2000年代までは、日毎の最高気温の記録更新と最低気温の記録更新の比率が2対1まで上昇しています。

  また、このまま温暖化が進行すると、この比率が15対1になるという研究結果(Meehl et al. 2016)もあります。

Temp records bell curve increase in warming world.png
温暖化していない通常の気候下における気温分布(中央のグレーのベルカーブ)と、気温が上昇した場合の気温分布。Credit: Climate Signals

  上のベルカーブのグラフは、温暖化していない通常の気候における気温の分布と、温暖化が進み平均気温が上昇した場合の気温分布を比較したものです。気候変動によってバックグラウンドの平均気温が上昇すればするほど、極端に暖かい日(Extreme Hot Weather)が増加し、極端に寒い日(Extreme Cold Weather)が減少します。

  以前にも『温暖化に伴う極端な猛暑日の増加』に掲載しましたが、1951年から1980年の平均と比較して、1951年から2011年までの北半球における夏の最高気温の分布がどのように変化したかを表したNASAの動画を見ると、上のグラフが示していることを確認できます。


  今後、最高気温の更新と最低気温の更新の比率がどのように変化していくのか、注視する必要があります。

【あわせて読んでほしい記事】

【参照文献】
Meehl, G. A., Tebaldi, C., & Adams-Smith, D. (2016). US daily temperature records past, present, and future. Proceedings of the National Academy of Sciences, 113(49), 13977–13982. http://doi.org/10.1073/pnas.1606117113

にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ


この記事へのコメント


この記事へのトラックバック