【NOAA】2月のアメリカは観測史上2番目の暖かさ  異常な暖かさの主因は気候変動という分析結果

  米海洋大気局(NOAA)が発表したレポートによると、米本土における2月は同月として観測史上2番目の暖かさとなりました(2月のフルレポートは近日中に更新される見込み)。また、要因分析を行った共同研究機関は、米南部から北東部にかけて極端に暖かい気候を短期的に繰り返した2月の異常な暖かさの主因は温暖化であると指摘しています。

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1895年から2017年までの米本土における2月の平均気温。緑の線は二項分布型フィルタを用いて平滑化処理を実行。青い線は1895年から2017年までの10年あたりの気温上昇。Credit: NOAA

  米本土の2月の平均気温は5.1℃と20世紀の平均よりも4℃高く、北極からの寒気団が南下しなかったために異常な暖かさとなった1954年の2月を約0.1℃下回って、123年の観測史上2番目の暖かさとなりました。また、2月の平均気温は、1895年以降10年あたり0.33℃上昇しており、1年の中で最も気温上昇が速い月のひとつとなっています。

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1895年から2017年の米本土における2月の平均気温のランキング。123位(赤)は観測史上最高。数字が大きいほどランクが上。白が平年並み(20世紀の平均)で、暖色が平年よりも暖かく、寒色が平年よりも寒い。Credit: NOAA

  米本土のうち、南部から中西部、中部大西洋沿岸地域、北東部まで広い範囲の16州で、2月の平均気温が観測史上最高を記録しました。北西部は平年並みか平年よりも涼しい2月となっています。

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1895年から2017年の米本土における冬(12月から2月)の平均気温のランキング。122位(赤)は観測史上最高。数字が大きいほどランクが上。白が平年並み(20世紀の平均)で、暖色が平年よりも暖かく、寒色が平年よりも寒い。Credit: NOAA

  米本土の冬(12月から2月)の平均気温は2.2℃と、平年よりも約2℃高く、観測史上6番目の暖かさでした。南部のテキサス州とルイジアナ州が観測史上最も暖かい冬となりましたが、ロッキー山脈以西は平年並みか平年よりも寒い冬になりました。特に、北西部のワシントン州とオレゴン州は平年よりもかなり寒い冬になったようです。

  さて、安定した気候であれば、「日毎(月間)の最高気温の観測史上最高記録更新」と「日毎(月間)最低気温の観測史上最低記録更新」の比率が1対1になるはずなのですが、2月は日毎の最高気温が5,040回更新されたのに対し、最低気温が過去最低を記録したのは79回で64対1、月平均最高気温が過去最高を記録したのは453件で、月平均最低気温が過去最低を更新したのは1件と、比率にして453対1という温暖化を象徴する結果になりました。

  2月のアメリカが極端に暖かい気候となったのは、気候変動による温暖化の影響が大きいという分析結果を、共同研究機関である「World Weather Attribution」が発表しています。

  同機関は、高解像の気候モデルを用い、1900年と2017年の気候を比較してどれくらいの頻度で極端に暖かい2月になるのかを分析しました(「attribution analysis(要因分析)」と呼ばれる、気候変動がない状態と気候変動によって気温が上昇した状態を比較し、ある特定の気象現象にどれくらい気候変動が寄与しているのかを分析する方法。過去にルイジアナ州で起こった記録的な集中豪雨への気候変動の関与などを分析しています)。

  その結果、1900年の気候をベースにすると、アメリカの2月が今年のような気候になる確率が160年に1回だったのに対し、現在は12年に1回の頻度で起こるようになっていると指摘しています。つまり、温暖化の影響によって、平年を4℃上回るような極端に暖かい2月が1900年の13倍(さらにいくつかの気候変動関連の要素を省いて分析を行った場合でも、少なくとも3倍)の頻度で訪れるようになっているということです。

  また、同機関は、今後も現在のペースで温室効果ガスの排出を続けた場合、2050年までに今年の2月が新しいノーマルになると指摘しています。

  そのような事態を避けるために、国際社会は野心的な気候変動対策の実行を急がなければなりません。

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