大気中の二酸化炭素濃度が2年連続で飛躍的に増加

  米海洋大気局(NOAA)の発表によると、2016年の米ハワイ州マウナロア観測所における大気中の二酸化炭素濃度が観測史上最高を更新し、増加速度も2015年の伸びと同様の値を示し、2年連続で飛躍的に増加しました。

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ハワイ州マウナロア観測所における二酸化炭素濃度の年間増加速度。Credit: NOAA

  マウナロア観測所で計測された2016年の二酸化炭素濃度は、2015年に続いて3 ppm以上増加し、405.1 ppmと観測史上最高を記録しました。2015年から2016年にかけての急激な増加は強いエルニーニョの影響が大きかったと考えられています。これで二酸化炭素濃度は5年連続で2 ppm以上増加しており、1959年の観測開始以降最長記録を更新中です。

  過去10年の二酸化炭素濃度の増加速度は、最終氷期から間氷期への移行時と比較して100倍から200倍にあたると、NOAAの世界温室効果ガス・リファレンス・ネットワークの主任科学者であるピーター・タンス氏は指摘しています。

  なお、2017年2月の二酸化炭素濃度は406.42 ppmに達し、産業革命前と比較して約45%上昇しています。

UK MET Office Observed and forecast CO2 concentrations 2016-2017.png
英気象庁による2016年から2017年にかけてのマウナロア観測所における二酸化炭素濃度の予報値並びに実測値。黒い実線は実測値。水色部分が2016年の予報値。オレンジの部分が2017年の予報値。Credit: 英気象庁

  また、英気象庁は、2017年のマウナロア観測所における二酸化炭素濃度が昨年よりも2.46 ± 0.61 ppm上昇し、406.75 ± 0.61 ppmに達するという予報を発表しました。直近2年よりも速度は鈍るものの、それでも過去10年の平均値である2.1 ppmを大きく上回りそうです。

  二酸化炭素濃度が1年で最も高くなる5月には409.86 ± 0.61 ppmに、最も低くなる9月には403.72 ± 0.61 ppmになると予測されています。もしかすると、2013年5月に観測史上初めて400 ppmを記録してからわずか4年で410 ppmを超えるかもしれません。

  気候変動対策をとらずにこのままのペースで二酸化炭素の排出を続けた場合、20年後には450 ppmを、今世紀中頃には500 ppmを超えることになります。

  そして、それは炭素収支がパリ協定で合意した「2℃未満」の壁を越えることを意味します。それを防ぐには、二酸化炭素排出量の急激な削減を実施して今世紀半ばまでに排出量をゼロにしたうえで、さらにネガティブエミッション技術を用いて大気中の二酸化炭素を回収・貯留しなければなりません。

  つまり、わたしたちに残された時間は限りなく少ないのです。

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