気象庁が発表した世界平均気温の速報値によると、2017年2月は昨年に次いで同月として観測史上2番目の暖かさでした。
世界の2月平均気温偏差。細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。単位は℃。Credit: 気象庁
2017年2月の世界平均気温の偏差(基準年は1981年から2010年)は+0.44℃で、昨年の+0.62℃を0.18℃下回る観測史上2番目に暖かい2月になりました。20世紀の平均気温との偏差は+0.86℃でした。また、2月の世界平均気温は100年あたりで0.80℃上昇していますが、これは3月の0.85℃に次ぎ、12か月中2番目に大きな上昇幅となっています。
2017年2月の世界平均気温偏差分布図。Credit: 気象庁
上の地図を見ると、2月の世界は中東や東南アジア、北米大陸北西部などの一部を除き、陸地のほとんどの地域で平年を上回りました。
さて、世界平均気温は2014年から3年連続で観測史上最高を更新中ですが、英気象庁や米航空宇宙局(NASA)の気候科学者は、エルニーニョの影響を受けない今年は観測史上3番目くらいの暖かさになるのではないかと予想しています。
2017年に入ってからまだ2ヶ月しか経っていませんが、今年のスタートを過去に最も暑かった8年の記録と比較してみました。
1981年から2010年までの世界平均気温との偏差。破線はエルニーニョ現象が起こった翌年(1997年から98年、2009年から10年、そして今回の2015年から16年)。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。Credit: 気象庁
上のグラフは、各年における1981年から2010年までの世界平均気温との偏差を表したものです。破線はエルニーニョ現象が始まった翌年で、気温がエルニーニョの影響を最も受けた年にあたります。
現段階では、昨年に次いで観測史上2番目に暖かい年初からの2か月間になっていますが、エルニーニョ現象が発生した2015年はその影響を受けて後半に気温が急上昇したため、エルニーニョの影響を受けない今年と比較するのは適当ではありません。エルニーニョが終わった翌年と比較するにも、このグラフにはその条件に該当する年が含まれていないので比較のしようがないのですが、それはバックグラウンドで温暖化が進んでいる証でもあります。
このグラフ内では、大まかではありますが、過去最強レベルだったエルニーニョ現象の2年目にあたる1998年と2016年の最初の2か月における違いが0.255℃でした(1998年は+0.315℃で、2016年は0.57℃)。
それと同様に、今年のデータをそのエルニーニョが終わった翌年の1999年の2月までと比較すると、今年の同期間の偏差が+0.415℃であるのに対し、1999年の同期間の偏差は+0.11℃でした。1999年の方が今年よりもラニーニャの影響を受けたため、実際には0.3℃よりも少し差は小さいはずですが、過去30年間で世界平均気温が10年あたり0.16℃上昇しているというデータとほぼ一致します。
この約0.26℃から0.3℃の差が、温暖化の進行を如実に表していると言えるでしょう。
【あわせて読んでほしい記事】
この記事へのコメント