【NASA】 2017年2月の世界は過去2番目の暖かさ  今年が観測史上最も暑い年になる可能性も?

  米航空宇宙局(NASA)の発表によると、2017年2月の世界平均気温は、同月としては昨年に次いで観測史上2番目の高さを記録しました。

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1880年から2017年までの2月の世界平均気温偏差。黒い線は各年における2月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。

  これは、1880年以降の2月の世界平均気温偏差を表したグラフです。2月の平均気温偏差(1951年から1980年が基準)は+1.1℃で、2016年の+1.32℃を0.22℃下回り、137年の観測史上2番目に暖かい2月となりました。

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2017年2月の世界平均気温偏差を表した世界地図(基準は1951年から1980年。単位: ℃)Credit: NASA

  上の地図は、世界各地の平均気温偏差(基準は1951年から1980年)を表しています。北極圏とアメリカのロッキー山脈以西、ロシア、中央アジア、そして中国の気温の高さが目立ちます。昨年の2月と比較して異なるのは、南極圏が暖かかったことです。

  それは、緯度別の偏差のグラフを比較するとよくわかります。

NASA GISS Global Temp Zonal Graph 2016-02.jpgNASA GISS Global Temp Zonal Graph 201702 Small.png
左が2016年2月、右が2017年2月の世界平均気温偏差の緯度別グラフ。(基準は1951年から1980年。Zonal Meanの単位は℃。グラフ横軸の目盛りのマイナスは南半球、プラスは北半球)。Credit: NASA

  左が昨年の2月、右が今年の2月です。気温の目盛りの上限が昨年は5℃で今年は4℃になっていますが、北極圏の異様な暖かさは現在も続いています。昨年はエルニーニョの影響を大きく受けていた赤道付近の気温が今年は低くなっています。

  そして、昨年は平年よりも低かった南極圏の気温がほとんどの地域で平年よりも1℃前後、南極点に近い地域では2℃近く高くなっています。その影響を受け、南極の夏の最小海氷面積は観測史上最小を記録しています。

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1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。NASAのGISSデータより作成。

  気象庁の発表と同じく、2017年最初の2か月は昨年に次いで2番目の暑さになっていますが、気象庁との違いは、2月までの平均が昨年1年間の平均を上回っていることです。グラフを見ると、2016年12月よりも今年2月の偏差の方が大きくなっていることがわかります。つまり、まだ2月ではありますが、現時点では観測史上最も暑かった昨年よりも暑いのです。


  世界平均気温のデータを分析している米カリフォルニアの非営利研究機関「バークレイ・アース」もこの現象について触れています。同機関の主任科学者であるロバート・ロード氏は、簡易統計モデルのシミュレーションによると今年の気温が昨年を上回る確率は約65%と述べています(グラフの緑のバーが2017年の予想平均気温)。


  それに対し、NASAゴッダード宇宙研究所のギャビン・シュミット氏は、NASAのシミュレーションでは2月が終わった時点で2017年の世界平均気温が昨年を上回る確率は12%エルニーニョ南方振動をシミュレーションに加えると32%)であると異論を唱え、上のツイートでグラフを投稿しています。

  個人的には、著名な機関の気候科学者たちによるこのようなやり取りを見られるのがTwitterの醍醐味だと感じています。

  昨年はエルニーニョ現象が終息すれば気温が下がり始めると容易に予想できましたが、今年は秋以降にエルニーニョ現象が再び発生する可能性が浮上するなど先行きが不透明なため、予想が難しくなっています(秋以降にエルニーニョが発生してもその影響は数か月遅れで現れるため、今年の気温への影響は限定的と思われます)。

  まさかこのまま昨年を上回るなんてことはないとは思いますが、もしも昨年のとんでもない観測史上最高の世界平均気温をあっさりと破っても不思議ではありません。

  なぜなら、地球の気候は未知の領域に入ってしまっているのですから。

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