気象庁と米航空宇宙局(NASA)に続き、米海洋大気局(NOAA)も、2017年2月の世界は同月として昨年に次いで観測史上2番目の暖かさだったと発表しました。12月から2月までの冬と、今年に入ってから最初の2か月も昨年に次いで過去2番目の暖かさとなっています。
2017年2月の世界平均気温偏差。基準年は1901年から2000年。単位は左側が摂氏、右側が華氏。Credit: NOAA
2017年2月の陸地と海洋を合わせた世界平均気温は、20世紀の平均を0.98℃上回る12.1℃で、同月としては2016年(偏差+1.20℃)に次いで138年間の観測記録の中で2番目の暖かさになりました。この偏差(+0.98℃)は、観測開始以来1646か月の中で7番目に大きな値でした。つまり、2月は過去すべての月の中で7番目に異常に暖かい月だったということになります。
これで、2月としては41年連続、すべての月を合わせて386か月連続で20世紀の世界平均気温を上回っています。また、2月の世界平均気温は1世紀あたり0.74℃、10年あたり0.07℃上昇していますが、1980年以降の上昇速度はその2倍に加速しています。
2017年2月の世界各地における平均気温偏差を表した地図(基準は1981年から2010年。単位は℃)。Credit: NOAA
2月は陸地のほとんどで20世紀の平均気温を上回りましたが、その中でも特に米本土の大部分とカナダ南東部、そしてロシア中部と東部で平年を3℃から5℃以上暖かくなりました。
2017年を含むそれ以前の観測史上最も暖かかった9年の各月までの世界平均気温偏差(基準は20世紀)。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。破線はエルニーニョ現象が発生した翌年。Credit: NOAA
年初から2か月間の偏差は+0.94℃で、昨年よりも0.18℃低い観測史上2番目の暖かさでしたが、観測史上3番目の2015年よりも0.09℃高くなりました。
主要気象機関(日本の気象庁、NASA、NOAA)による2月の世界平均気温がそろったところで、産業革命前に最も近い実測データ(基準年は1891年から1920年)と比較して、各気象機関および3機関を統合した世界平均気温が2月までにどのくらい上昇したのかを確認しておきます。
1891年から1920年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。
主要3気象機関を統合した、産業革命に最も近い30年間の実測データによる2月までの世界平均気温偏差は過去2番目に大きい+1.23℃で、同月として過去最大だった昨年の同時期を0.19℃下回りました。
各気象機関と3つの機関を統合したそれぞれの月までの世界平均気温偏差(基準年は1891年から1920年。単位は℃)。月平均は各月の世界平均気温偏差。累計はその年における各月までの平均気温偏差(6月ならば1月から6月までの偏差の平均)。
この表は、上のグラフを各気象機関に分けて数値化したものです。この統合データの累計+1.23℃という数値は、産業革命前から2月までに世界平均気温が1.23℃上昇していることを意味しています。つまり、パリ協定の目標である「2℃未満」を達成するには、2100年までの気温上昇をあと0.77℃未満に抑える必要があるということです。開発途上国への影響を最小限に抑えるための努力目標である「1.5℃未満」まではあと0.27℃しか余裕がありません。
世界の平均気温が直近30年で10年あたり0.16℃上昇しているのを考慮に入れると、目標を達成するためには早急な気候変動対策の実行と、ネガティブエミッション実現のためのテクノロジー開発が急務です。
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