北極の海氷の「冬季最大面積」が過去最小を記録したことに触れましたが、北極の海氷が1年で最も拡大する頃、夏の南極では海氷面積が1年で最も小さくなります。
長期的な減少傾向にある北極と違い、南極の海氷は2015年に観測史上最大の日平均面積を記録、2014年9月には冬の最大面積が過去最大を記録するなど、長期的(過去30年)には海氷はまだ増加傾向にあります。
3月22日現在の南極の海氷面積(単位は百万平方キロメートル)。Credit: NSIDC
米国立雪氷データセンター(NSIDC)と米航空宇宙局(NASA)によると、南極の海氷は3月2日に211万平方キロメートルまで縮小し、1997年を184,000平方キロメートル下回る観測史上最小面積を記録しました。
北極(冬の最大面積)と南極(夏の最小面積)がともに過去最小を更新したため、両極地域の海氷面積の合計も観測史上最小を記録しました。
上からそれぞれ北極、南極、両極合計の月平均海氷面積偏差(基準年は1979年から2017年。単位は百万平方キロメートル)。Credits: Joshua Stevens/NASA Earth Observatory
このグラフは、上からそれぞれ北極、南極、そして両極地域合計の海氷の月平均面積偏差を表しています。北極の海氷面積が減少傾向にあるのに対し、南極は2016年以降に激減しているものの、長期的にはまだ増加傾向にあります。
下のNSIDCのツイートのGIF動画を見ると、特に南極の海氷が年によって大きく増減しているのがよくわかると思います。
#Arctic sea ice maximum and #Antarctic minimum both at record low this year. https://t.co/RnAmDjJUqk pic.twitter.com/4P5QzYDF3S
— NSIDC News (@NSIDC) March 22, 2017
北極は海洋を陸地が囲んでいますが、南極はその逆で陸地を海洋が囲んでいます。北極と南極では大気の循環も大きく異なるため、南極の海氷の激減に気候変動が影響を与えているのかどうか、もしも与えているのだとしたらどれくらい寄与しているのか、今後も南極の海氷は減少傾向が続くのか、それともこの極端な海氷の減少は昨年と今年だけなのか、海氷の極端な減少が南極とその周辺、そして中緯度地域の気候にどのような影響を与えるのかなど様々な疑問がありますが、専門家による海氷や氷床融解のメカニズムの解明が待たれます。
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