【NASA & 気象庁】3月も世界は観測史上2番目の暑さ

  エルニーニョ現象の影響も受けず、弱いながらもラニーニャの影響を受けたというのに、2017年1月と2月の世界は予想よりも高い平均気温で推移してきました。

  そして、その傾向はまだ続いており、米航空宇宙局(NASA)と日本の気象庁の発表によると、3月の世界は同月として観測史上2番目の暑さとなりました。

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細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。Credit: 気象庁

  まず、日本の気象庁の発表では、3月の世界平均気温偏差は+0.48℃(基準年は1981年から2010年)で、1891年の統計開始以降最も暑かった2016年に次いで2番目に大きな値となりました。20世紀の平均を基準とした偏差は+0.93℃でした。なお、世界の3月の平均気温は100年あたり約0.86℃の割合で上昇を続けています。

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2017年3月の世界平均気温偏差分布図。Credit: 気象庁

  上の地図は世界平均気温偏差の分布を表しています。3月はヨーロッパとロシア、特にシベリアで極端な暖かさとなったようです。逆に、同じ北極圏でも米アラスカ州では平年よりも気温の低い地域がありました。

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1981年から2010年までの世界平均気温との偏差。破線はエルニーニョ現象が起こった翌年(1997年から98年、2009年から10年、そして今回の2015年から16年)。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。Credit: 気象庁

  上のグラフは、各年における1981年から2010年までの世界平均気温との偏差を表したものです。破線はエルニーニョ現象が始まった翌年で、気温がエルニーニョの影響を最も受けた年にあたります。

  今年はエルニーニョの影響を受けず、弱かったラニーニャも終わり現在はニュートラルの状態であるにもかかわらず、1月から3月までの偏差は観測史上最も暑かった昨年に次いで2番目に高い値となっています。また、まだ3月ではありますが、昨年の年間平均気温偏差をわずかに上回っています。

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1880年から2017年までの3月の世界平均気温偏差。黒い線は各年における3月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。

  次に、NASAによる発表を見てみましょう。この折れ線グラフは、1880年以降の3月の世界平均気温偏差を表しています。3月の平均気温偏差(1951年から1980年が基準)は+1.12℃で、最も暑かった2016年の+1.28℃を0.16℃下回ったものの、2番目に暑かった2015年を0.22℃上回り、137年の観測史上で2番目に暖かい3月となりました。

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2017年3月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)。Credit: NASA

  上の世界地図は3月の世界平均気温偏差を表しています。気象庁と同じく、ヨーロッパ全域とロシア、特に北部シベリア地域の気温が極端に高くなっています。また、アメリカの広い範囲と西南極でも平年より暖かい3月となりました。

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1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。NASAのGISSデータより作成。

  気象庁と同じく、1月から3月までの世界平均気温は昨年に次いで2番目に高く、昨年1年間の世界平均気温を3月の時点で上回っています。このまま気温が下がらなければ、異常だった昨年を上回って観測史上最も暑い年になる可能性もあります。夏以降の早い段階で勢力の強いエルニーニョ現象が発生するようなことになれば、それも現実味を帯びてくるかもしれません。


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