気象庁と米航空宇宙局(NASA)に続き、米海洋大気局(NOAA)も、2017年4月の世界は同月として昨年に次ぐ過去2番目の暖かさだったと発表しました。また、今年に入ってから最初の4か月も昨年に次いで過去2番目の暖かさとなっています。
2017年4月の世界平均気温偏差。基準年は1901年から2000年。単位は左側が摂氏、右側が華氏。Source: NOAA
2017年4月の陸地と海洋を合わせた世界平均気温は20世紀の平均を0.90℃上回り、同月としては2016年(偏差+1.07℃)に次いで138年間の観測史上2番目の暑さとなりました。この偏差(+0.90℃)は、観測開始以来1648か月の中で12番目に大きな値でした。
これで、4月としては41年連続、そしてすべての月を合わせて388か月連続で20世紀の世界平均気温を上回っています。また、4月の世界平均気温は1世紀あたり0.72℃上昇しています。
2017年4月の世界各地における平均気温偏差を表した地図(基準は1981年から2010年。単位は℃)。Source: NOAA
4月も陸地の大半で20世紀の平均気温を上回りましたが、北半球の高緯度地域、特に中央アジアから東アジア、米アラスカ州と米本土の東半分の地域では、平年よりも3℃以上暖かくなりました。なお、米北西部とカナダの大部分、南アメリカ中部、スカンジナビア、中央及び東ヨーロッパ、ロシア西部、中央及び東南アジア、そしてオーストラリアの大部分では平年並み、もしくは平年よりも涼しい4月になりました。特にカナダ北部で平年を2℃から3℃下回る地域がみられました。
2017年を含むそれ以前の観測史上最も暖かかった9年の各月までの世界平均気温偏差(基準は20世紀)。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。破線はエルニーニョ現象が発生した翌年。Source: NOAA
年初から4か月間の偏差は+0.95℃で、昨年よりも0.19℃低い観測史上2番目の暖かさでしたが、観測史上3番目の2015年を0.10℃上回りました。また、4月までの平均気温は昨年1年間の平均気温を上回っており、もしも気温が下がらないまま推移すると、昨年を上回って観測史上最も暑い年になる可能性があります。
主要気象機関(日本の気象庁、NASA、NOAA)による4月の世界平均気温を産業革命前に最も近い実測データ(基準年は1891年から1920年)と比較して、3機関を統合した世界平均気温が4月までにどのくらい上昇したのかを確認しておきます。
1891年から1920年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。
主要3気象機関を統合した、産業革命に最も近い30年間の実測データによる4月までの世界平均気温偏差は過去2番目に大きい+1.22℃で、いわゆる産業革命前から1.22℃気温が上昇しており、1.5℃未満の努力目標まであと0.28℃、2℃未満の目標まであと0.78℃しか気温上昇の余裕がないことになります。
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