夏以降にエルニーニョ現象が発生する確率は約70%

  米海洋大気局(NOAA)とコロンビア大学による5月中旬の発表によると、今秋以降にエルニーニョ現象が発生する確率が70%近くになり、5月初旬にはニュートラルとほぼ同じだった同確率が再び上昇しました。

  3月に約70%近くまで上昇したエルニーニョ発生確率は、4月上旬に下がった後中旬に上昇を見せたものの、5月上旬にはまた下降し、春のエルニーニョ・南方振動(ENSO)の予測が大変難しいことを物語っていました。加えて、今春はラニーニャ現象からの移行時期と重なったことも、ENSOモデルによる予測をさらに困難にさせる原因となっているようです。

ENSO Probability Mid 201705.gif
Credit: CPC/IRI

  このグラフは、5月中旬の段階(5月18日更新)で、エルニーニョ・南方振動(ENSO)が今後「エルニーニョ」、「ラニーニャ」、「ニュートラル」のどの状態になるのかをコンピュータモデルで予想した結果です。それによると、6月から10月までのエルニーニョ発生確率が64%から69%と、5月初旬の46%から大幅に上昇しています。

ENSO Predictions Mid 201705.gif
世界主要気象機関のエルニーニョ・南方振動(ENSO)モデルによる2017年5月18日発表のニーニョ3.4海域における海表面温度偏差の長期予想(基準年は1981年から2010年)。Credit: CPC/IRI

  上のグラフは、世界各国のENSOモデルによって今後のENSOの動向をシミュレートした結果です。動的モデル(黄色の太線)の予想では秋以降にニーニョ3.4海域の海表面温度偏差が1℃を超えているのに対し、統計モデル(薄緑の太線)の方は0.5℃を少し上回る程度になっています。NOAA気象予報センター(ピンクの太線)は、ニュートラルの状態が継続すると予想しています。

  動的モデルと統計モデルのほとんどが、5月から7月にかけてニュートラルあるいは弱いエルニーニョ状態(この期間のエルニーニョ発生確率は56%)を予測していますが、6月から11月にかけてはエルニーニョの発生確率が高くなっています。5月中旬時点では、動的モデルの半分以上、統計モデルの約半数が今夏以降のエルニーニョ現象の発生を予測しています。

  直近のデータによると、ニーニョ3.4海域の海表面温度偏差は、エルニーニョ現象のしきい値である+0.5℃となっており、4月の+0.32℃から上昇しています。特に赤道太平洋東部(ペルー沖)の海表面温度はエルニーニョ現象発生時と変わらない高さまで上昇していますが、海水温とあわせてエルニーニョ現象の条件となっている赤道太平洋の風がまだニュートラル時の状態を示しているため、今後どのように変化するかを注視する必要があります。

【あわせて読んでほしい記事】

にほんブログ村 環境ブログ 地球環境へ

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック