気象庁に続いて、米航空宇宙局(NASA)が2017年5月の世界平均気温を発表しました。それによると、5月の世界平均気温は、同月として観測史上2番目の高さとなりました。
1880年から2017年までの5月の世界平均気温偏差。黒い線は各年における5月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。
5月の世界平均気温偏差(基準年は1951年から1980年)は+0.88℃で、昨年(2016年)の+0.93℃に次いで同月としては観測史上2番目の暑さとなりました。観測史上最も暑い年から4番目に暑い年までが、過去4年間に集中しています。
2017年5月の世界平均気温の偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)Credit: NASA
最近は、北極圏の極端な暖かさが世界平均気温を押し上げる傾向が強かったのですが、上の地図を見ればわかるように、5月は北極圏の気温が珍しくこれまでよりも低くなり、南極は4月とは逆に、極端に暖かい5月になりました。
緯度別の偏差のグラフを比較すると、4月と5月の違いがよくわかります。
上が2017年4月、下が2017年5月の世界平均気温偏差の緯度別グラフ。(基準は1951年から1980年。単位は℃。グラフ横軸の目盛りのマイナスは南半球、プラスは北半球)。Credit: NASA
上の4月の緯度別グラフを見ると、北極圏の気温が極端に高いのに対して南極の気温が低くなっていますが、下の5月のグラフでは逆に北極圏の気温が下がり、南極が極端に暖かくなっています。このように短期間で気温が上下するのは珍しいことではありませんが、極地域の極端な暖かさが長期的に継続すると、氷床や棚氷、海氷の融解、それに伴う海面上昇(すでに海上にある棚氷と海氷がとけても海面は上昇しません)や、加速度的な温暖化につながるため、今後の動向が気になるところです。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)。NASAのGISSデータより作成。
1月から5月までの5か月間も、過去最高を記録した昨年(+1.16℃)を0.19℃下回り、観測史上2番目の暑さになっています。なお、4月までの平均気温は2016年の年平均気温を上回っていましたが、5月を終えた時点では、昨年の年平均気温を0.013℃下回っています。このまま極端な気温の上昇や低下なく推移すると、昨年に次いで2番目に暖かい年になりそうです(気象庁は5月を終えた時点で観測史上3番目に暑い年になるペースになっています)。
With May GISTEMP update, my prediction is 2017 will be ~2nd warmest year in the record (<10% of a new record, >98% in top three) pic.twitter.com/tvZ15GMML9
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) June 15, 2017
昨年9月に今年が観測史上3番目に暑い年になると予測していたNASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者ギャビン・シュミット氏が、5月までの気温データを元に分析した結果によると、現時点で今年は昨年に次ぐ観測史上2番目に暑い年になりそうです。シュミット氏は、今年が観測史上最も暑い年になる確率を10%未満、過去3番目以内の暑さになる確率を98%超と予想しています。
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