気象庁と米航空宇宙局(NASA)に続き、米海洋大気局(NOAA)が5月の世界平均気温を発表し、同月としては昨年と一昨年に次いで過去3番目の暖かさになりました。また、今年に入ってから最初の5か月は、昨年に次いで過去2番目の暑さとなっています。
2017年5月の世界平均気温偏差。基準年は1901年から2000年。単位は左側が摂氏、右側が華氏。Source: NOAA
5月の陸地と海洋をあわせた世界平均気温は20世紀の平均を0.83℃上回り、同月としては2016年(偏差+0.89℃)と2015年(+0.86℃)に次いで138年間の観測史上の中で3番目の暑さでした。
これにより、5月として41年連続、そしてすべての月をあわせて389か月連続で20世紀の世界平均気温を上回っています。また、5月の世界平均気温は1世紀あたり0.70℃上昇しています。
2017年5月の世界各地における平均気温偏差を表した地図(基準は1981年から2010年。単位は℃)。Source: NOAA
5月の世界は、米中部から東部にかけて平年よりも少し気温の低い地域が、東ヨーロッパと、ロシア西部から北西部にかけては平年よりも著しく気温が低くなりました。逆に、北アフリカと東南アジアでは、記録的な暑さになった地域がありました。
2017年を含むそれ以前の観測史上最も暖かかった9年の各月までの世界平均気温偏差(基準は20世紀)。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。破線はエルニーニョ現象が発生した翌年。Source: NOAA
年初から5か月間の偏差は+0.92℃で、昨年の+1.09よりも0.17℃低く観測史上2番目の暑さになりました。この値は、昨年に次ぐ暖かさだった2015年の+0.85℃を0.07℃上回っています。また、4月までは昨年の年平均気温を上回っていましたが、5月までの平均気温は昨年1年間よりも0.02℃低く、観測史上2番目の暖かさとなっています。
主要気象機関(気象庁、NASA、NOAA)による5月までの世界平均気温を、産業革命前に最も近い実測データ(基準年は1891年から1920年)と比較して、産業革命前から5月までにどのくらい気温が上昇したのかを確認してみましょう。
1891年から1920年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。
産業革命に最も近い30年間における、主要3気象機関の実測データによる5月までの世界平均気温偏差は過去2番目に大きい+1.20℃となっています。この数値は、いわゆる産業革命前から世界平均気温が1.20℃上昇したことを示しており、1.5℃未満の努力目標を達成するには気温上昇を0.3℃未満に、2℃未満の目標を達成するには0.8℃未満に抑える必要がありますが、現在の温室効果ガス排出ペースでは、二酸化炭素回収・貯留技術や蓄電技術などの開発と普及なしで2℃未満の目標を達成するのは不可能といっていいでしょう。
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