【ダコタ・アクセス・パイプライン】 トランプ政権が環境評価見直し期間延長を申し立て


  スタンディングロック・スー族が水源としている、ミズーリ川上流にあるオアへ湖の地下を通過するパイプライン建設が環境正義問題に発展し、米先住民グループを中心とする人々が1年以上にわたって抗議活動を続けてきたダコタ・アクセス・パイプラインは、6月14日にワシントンD.C.米連邦裁判所のジェームズ・ボアズバーグ判事がトランプ氏の大統領令に基づいた米陸軍工兵隊による建設認可は違法であるという判断を下し、米陸軍工兵隊に対して環境への影響を再分析するよう命じた後、同21日には7月と8月に三者の主張を聞くために公聴会を開くことが決められ、今月の公聴会までにトランプ政権は影響評価のスケジュールを調整する予定になっていました。

※ ここまでの流れは以下のリンクから(上から時系列で並んでいます)

  しかし、米陸軍工兵隊は7月17日、影響評価の再分析には数か月を要するため、分析作業が終了するまでの間、6月に運転を開始しているパイプラインを停止しないよう求める趣意書を連邦裁に提出しました。米陸軍工兵隊は今年末を目処に再分析を終えるとしています。趣意書の中で工兵隊は、連邦裁に命じられたスタンディングロック・スー族居留区への影響を再分析しても、2月にパイプライン建設認可の決定を下したときと同様に、オアへ湖地下でパイプラインが原油漏出事故を起こす可能性が著しく低いため、居留区への影響はないという結論に至る可能性が相当高いと述べています。

  また、パイプラインの運転を行っている、ダコタ・アクセス・パイプライン建設事業主であるエナジー・トランスファー・パートナーズ社傘下のダコタ・アクセス社も、影響評価の再分析中の運転停止によって1か月あたり9千万ドル(約100億円)の損失が出ることや、運転を継続するよりも環境に悪影響を与える可能性が高いことを理由として、再分析期間中の運転継続を求める趣意書を連邦地裁に提出しました。

  スタンディングロック・スー族の代理人で非営利人権保護団体「アース・ジャスティス」のジャン・ハッセルマン弁護士は、工兵隊の主張について「工兵隊による再分析は前回の決定をなぞっているに過ぎず、独立した専門家を再分析作業に迎え入れることが新たな手続きの公正性を担保する唯一の方法です。」と述べるとともに、先月と同じく再分析中のパイプラインの一時停止を求めています。

  連邦地裁のボアズバーグ判事によるパイプラインの一時停止をするかどうかの決定は、まだ下されていません。

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