ここ数年で、産業革命以前から未来のシナリオに至るまで、気温の変化がひと目でわかるグラフやGIFアニメーションがずいぶんと増えてきました。
代表的なのは、このブログでも取りあげたことがある、英レディング大学の気候科学者であるエド・ホウキンス氏が英気象庁のHadCRUT4のデータを基に作成した、1850年以降の各月における世界平均気温偏差（基準年は1850年から1900年）をわかりやすく視覚化したスパイラルグラフのGIFアニメーションです。
Credit: Ed Hawkins
このスパイラルGIFアニメの素晴らしい点は、パリ協定で定めた「産業革命前から2100年までの気温上昇を2℃未満を大きく下回り、できれば1.5℃未満を目指す」という目標に、ここまででどれくらい迫っているかを確認できるところです。
このグラフを参考に、米国地質調査所（USGS）のジェイ・アルダー氏がIPCC（気候変動に関する政府間パネル）の最悪のシナリオに沿った、2100年までの気温上昇を表すGIFアニメを作りました。
さらには、豪メルボルン大学のチームが1850年以降の世界年平均二酸化炭素濃度と炭素収支を示すスパイラルGIFアニメグラフを作成http://climatechange.seesaa.net/article/440604331.htmlしました。
一風変わったところでは、GIFアニメではありませんが、気候変動否定派がよく口にする「気候は以前にも変動したことがある」という言説に応えて、ウェブコミック「xkcd http://xkcd.com」の著者であるランドール・マンロー氏が作った、紀元前2万年から2100年までの気温の変化を史実とともに表したグラフhttp://climatechange.seesaa.net/article/441916708.htmlが話題になりました。
前置きが長くなりましたが、このような流れの中で、以前に世界月平均気温偏差の折れ線グラフ（現在では毎月発表される世界平均気温のレポートで使用されています）を作った、米航空宇宙局（NASA）ゴッダード宇宙研究所の気候科学者であるギャビン・シュミット氏が、世界平均気温の新しいGIFアニメーショングラフを作成しました。
まず、基礎になったのは同氏が作った、1880年から2015年における月毎の世界平均気温の分布（基準年は1951年から1980年）に、過去最も暑かった2016年と、前半6か月の平均気温が観測史上2番目の暑さになっている今年の月平均気温を加えて、この2年がどれほど極端な暑さだったかを表したグラフでした。
Credit: Gavin Schmidt
グラフのグレーの部分は1880年から2015年までの各月の世界平均気温偏差の分布を、赤と黒のドットはそれぞれ2017年と2016年の各月における世界平均気温偏差を表しています。これを見ると、今年と昨年が極端に暑くなっていることがわかります。
そして同氏はそこからさらにTwitter上での気候科学者たちとのやり取りを経て、1881年を始点とした、30年ごとの世界月平均気温偏差の分布を10年区切りで表し、そこに昨年と今年の各月における世界平均気温を加えたGIFアニメーションの作成に至りました。
Credit: Gavin Schmidt
30年ごとの世界月平均気温偏差の分布グラフがまるで生き物のように移動していますが、これは各月の世界平均気温が上昇していることを表しています。
そして、わたしたちが野心的な温室効果ガス排出量の削減とともに、ネガティブエミッション技術の開発と実用化を急ぎ、大気から二酸化炭素を取り出してどこかに貯蔵しない限り、気温上昇が止まる見込みはほとんどありません（過去になかったレベルの太陽活動の低下や、大規模な火山の噴火、隕石の衝突、映画『デイ・アフター・トゥモロー』のように急激な海流の変化が起こらないとは言い切れないので「見込みがない」とは言いません）。
※ 2017年7月22日追加
ギャビン・シュミット氏が、19世紀末以降における「2年ごと」及び「5年ごと」の世界月平均気温偏差の推移、そして絶対値を基準に各月の気温差もわかるようにしたグラフを気候科学者グループで執筆・運営している「Real Climate」に投稿しているので、追加しておきます。
・ 2年ごと
・ 5年ごと
・ 季節サイクルがわかるグラフ（5年ごと）
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