気象庁が発表した世界平均気温の速報値によると、2017年7月は2016年に次いで、同月として観測史上2番目の暑さでした。
世界の7月平均気温偏差。細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。単位は℃。Credit: 気象庁
2017年7月の世界平均気温偏差(基準年は1981年から2010年)は+0.41℃で、昨年の+0.43℃に次いで観測史上2番目の暑さでした。この数値は、観測史上3番目だった2015年の+0.38℃を0.03℃上回っています。20世紀の平均気温との偏差も観測史上2番目となる+0.75℃でした。また、7月の世界平均気温は100年あたりで0.69℃上昇しています。
1981年から2010年までの世界平均気温との偏差。破線はエルニーニョ現象が起こった翌年(1997年から98年、2009年から10年、そして今回の2015年から16年)。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。Credit: 気象庁
上のグラフは、1981年から2010年までの世界平均気温と、過去に最も暑かった8年と今年の平均気温との偏差を表したものです。破線はエルニーニョ現象が始まった翌年で、気温がエルニーニョの影響を最も受けた年にあたります。
7月までの段階で、昨年と一昨年に次いで観測史上3番目に暑い7か月間になっています。現在のところ、これから今年後半にかけて気温が急上昇する可能性は低いため、英気象庁や米航空宇宙局(NASA)が予想したように、観測史上3番目の暑さを記録することになりそうです。
注目すべき点は、エルニーニョ現象の影響をまったく受けていない年としては観測史上最も暑い7か月間になっていることで、これはバックグラウンドでの温暖化の進行を物語っています。
日本における7月の平均気温偏差も見ておきましょう。
日本の7月平均気温偏差。細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。Source: 気象庁
これは、日本における2017年7月の平均気温偏差(基準年は1981年から2010年)を表したグラフです。日本の7月の平均気温偏差は+1.83℃で、1898年の観測開始以降、1978年の+1.92℃に次いで2番目に暑い7月になりました。なお、20世紀の平均気温との偏差は+2.13℃で、100年あたり約1.07℃の割合で気温が上昇しています。
日本における7月の平均気温偏差は世界(+0.41℃)よりも1.42℃も大きく、100年あたりの気温上昇も世界の+0.69℃に対して+2.13℃と、約3倍の速さで進んでいます。
気象庁が発表した統計によると、1970年代から80年代と比較して、1時間に50ミリ以上の大雨の降る頻度が3割程度増えていることがわかっており、それによる洪水などの増加と激化が予想されます。
地球温暖化によって、命を脅かす「死の熱波」が増加するという研究結果もあります。様々な被害を未然に防ぐために、気候変動に対する緩和策と適応策の実施を急ぐ必要があります。
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