日本の気象庁に続いて、米航空宇宙局(NASA)が発表したデータによると、2017年7月の世界平均気温は、同月として統計学的に昨年と並んで観測史上最高を記録しました。
1880年から2017年までの7月の世界平均気温偏差。黒い線は各年における5月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。
7月の世界平均気温偏差(基準年は1951年から1980年)は+0.83℃で、昨年(2016年)の+0.82℃と統計学的に並ぶ観測史上最高の暑さとなりました。
1980年から2015年までの季節サイクルに対する各月の平均気温偏差。Source: NASA
上のグラフは、1880年以降の各月における世界平均気温偏差を重ね合わせたものです。季節サイクルになっており、先ほどのグラフのような特定の月だけではないため、同じ偏差でも冬は低く、夏は高くなっています。
通常、7月は1年で最も高い平均気温を記録します。観測史上最も暑い年になった昨年(2016年)は、7月と8月が統計学上同じ気温で並び、1880年の観測開始以来、地球が経験した最も暑い2か月間になりました。そして、今年の7月は統計学上その2か月と並んで、同月としてもすべての月を合わせても、観測史上最も暑い1か月になりました。
昨年の同時期はすでに終息していたとはいえ、史上最強クラスだったエルニーニョの影響がまだ残っていましたが、今年はエルニーニョの影響をまったく受けていないにもかかわらず、昨年並みの暑さを記録したことになります。
各月の世界平均気温よりも年間を通した記録の方が、そして特定の1年間よりも数十年にわたるデータの方がより不確かな要素も減って信頼性も高くなり、傾向もよりハッキリするとはいえ、エルニーニョとは無関係の年がエルニーニョの年の記録に並ぶのは少し驚きです。
1951年から1980年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。NASAのGISSデータより作成。
1月から7月までの7か月間は、観測史上最高を記録した昨年(+1.07℃)を0.12℃下回る観測史上2番目の暑さになりました。なお、この7か月間の世界平均気温は、2016年の年平均気温を0.054℃下回る過去2番目の暖かさとなっています。
Prediction for 2017 annual mean in GISTEMP w/Jul data in, 77% chance of a top 2 year. pic.twitter.com/zwZVnEXit3
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) August 15, 2017
さて、毎月恒例になっているNASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者ギャビン・シュミット氏が7月までの気温データを元に行った分析結果によると、現時点で今年が昨年を上回って観測史上最も暑い年になるか、観測史上2番目に暑い年になる確率は77%となっています。
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