【気象庁】 3月の世界平均気温は観測史上3番目の高さ

  気象庁が発表した世界平均気温の速報値によると、2018年3月は2016年と2017年に次いで、同月として観測史上3番目の暑さでした。

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2018年3月の世界平均気温偏差。細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。単位は℃。Credit: 気象庁

  2018年3月の世界平均気温偏差(基準年は1981年から2010年)は+0.34℃で、2016年の+0.64℃と昨年の+0.46℃に次いで、同月として観測史上3番目に高い値でした。20世紀の平均気温との偏差は+0.79℃でした。また、3月の世界平均気温は100年あたりで0.87℃上昇しています。

  続いて、米航空宇宙局(NASA)と同様に、産業革命以降にどれくらい気温が上昇しているのかをイメージしやすいように、気象庁の気温データで産業革命に最も近い30年間を基準年としてグラフを作成してみましょう。ただし、気象庁が世界平均気温の観測を開始したのは1891年からですが、日本の気温データは1898年が観測初年なので、世界と日本における気温の上昇傾向を比較しやすいように、双方の基準年を1901年から1930年に設定します。

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2018年3月の世界平均気温偏差。黒線は各年の平均気温偏差。赤線は偏差の11年移動平均。基準年は1901から1930年。単位は℃。Credit: 気象庁

  基準年を1901年から1930年に変更した場合、3月の平均気温偏差は+1.06℃で、2016年(+1.36℃)と2017年(+1.20℃)に次いで同月として3番目の暖かさでした。基準年を変えるだけで、パリ協定の目標と比較して実際の気温上昇がどれくらいなのかを把握しやすくなります。

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2018年3月の世界平均気温偏差分布図。Credit: 気象庁

  NASAと同じく、極渦の南下による寒気の影響を受けたヨーロッパと米東部の気温の低さと、米アラスカ州と中東から東アジアにかけての気温の高さが顕著です。また、海に目を移すと、太平洋の中央から東岸にかけて温度が低くなっていますが、これはラニーニャ現象によるものです。

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1901年から1930年までの世界平均気温との偏差。破線はエルニーニョ現象が発生した翌年。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。Credit: 気象庁

  上のグラフは、1901年から1930年までの世界平均気温を基準に、過去に最も暑かった5年と今年の平均気温の偏差を表したものです。破線はエルニーニョ現象が始まった翌年で、気温がエルニーニョの影響を最も受けた年にあたります。

  3月までの3か月間の平均気温は、観測史上5番目の高さになっています。ラニーニャ現象終息後に、どれくらい気温が上昇するのか気になるところです。

  次に、日本の平均気温も確認してみましょう。世界平均気温と同じく、グラフの基準年は1901年から1930年に変更してあります。

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2018年3月における日本の平均気温偏差。黒線は各年の平均気温偏差。赤線は偏差の11年移動平均。基準年は1901から1930年。単位は℃。Credit: 気象庁

  気象庁の基準年(1981年から2010年)では、3月の平均気温偏差は+1.82℃(20世紀平均では+2.62℃)と、観測史上2番目に高い値になりました。また、日本の3月の月平均気温は、100年あたりで約1.50℃上昇しています。この基準年ですら、3月の日本の平均気温はパリ協定の努力目標(産業革命前比+1.5℃)を大きく上回っています。

  基準年を1901年から1930年にすると、3月の日本の平均気温偏差は+2.94℃と、1898年の観測開始以降、2002年の+2.99℃に次いで2番目に暖かい3月となりました。

  先ほどの世界平均気温偏差のグラフと比べると、日本の平均気温は年によってばらつきがあります。日本という局所的なデータだけを見ると、世界平均に比べて変動が大きくなります。これが、地球規模とローカル規模の気候の違いです。長期的な傾向に注目すると、日本も北極圏と同じく、他の地域と比較して気温上昇が急速に進んでいます。

  世界平均気温のグラフと日本の平均気温のグラフでは目盛りの幅が違うので、世界平均気温の目盛りを日本と合わせて比較してみましょう。

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  こうして比較すると、地域的なバリエーションと、地球規模の傾向の違いがよくわかります。世界平均気温には、日本のような大きな変動は見られません。特定の地域における気温の変動ではなく、地球規模で起こっている気温の変化に着目すると、限りなくノイズを取り除いた傾向を知ることができます。

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1901年から1930年を基準年とした日本における平均気温偏差。最も偏差が大きかった5年と今年を比較。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均)。Credit: 気象庁

  年初からの3か月間は、過去に最も暖かかった5年と比較すると涼しくなっていますが、それでも偏差は+1.23℃と、世界と比較すると決して低い値ではありません。また、今年以外のすべての年が+1.5℃を上回り、5年のうちの3年が一時的に+2.0℃を超えています。

  このまま気温が上昇を続けると、日本では猛暑日や真夏日の増加に伴う熱射病の増加や、ゲリラ豪雨や集中豪雨による洪水などの極端な気象現象の増加、農業への打撃などの深刻な事態につながると予測されており、気候変動対策を急ぐ必要があります。

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