米航空宇宙局(NASA)によると、4月の世界平均気温は同月として観測史上3番目に高い値でした。
1880年から2017年までの4月の世界平均気温偏差。黒い線は各年における4月の平均気温。赤い線は11年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータから作成。
4月の世界平均気温偏差(基準年: 1951年~1980年)は+0.86℃で、2016年の+1.07℃、2017年の+0.92℃に次いで、観測史上3番目に暑い4月になりました。2010年(+0.84℃)、2014年(+0.77℃)、2015年(+0.74℃)が過去4番目から6番目で続いています。138年間の観測史上で、上位6番目までに暑い年のうち、過去最高から3番目、そして5番目と6番目にあたる5つの記録が、過去5年間に集中していることになります。
続いて、パリ協定で定めた、産業革命前から2100年までの気温上昇を2℃に抑える目標(努力目標は+1.5℃)と比較して、現在までにどれくらい気温が上昇しているのかをイメージしやすいように、基準年を産業革命に最も近い30年(1881年~1910年)に変更したグラフを見てみます。
1880年から2018年までの4月の世界平均気温偏差。黒い線は各年における4月の平均気温。赤い線は太陽周期や自然変動の影響を少なくするために11年ごとの移動平均に変更(NASAが設定している1951年から1980年の基準年を、産業革命前に最も近い30年にあたる1881年から1910年に変更。単位は℃)。NASAのGISSデータから作成。
基準年を19世紀後半から20世紀初めに変更すると、4月の世界平均気温偏差は+1.15℃と、極端に暑かった2016年(+1.36℃)と2017年(+1.21℃)より低くなりましたが、それでもパリ協定の努力目標である+1.5℃に、あと0.35℃のところまで迫っています。
2018年4月の世界平均気温偏差を表した世界地図(偏差の基準は1951年から1980年。単位: ℃)Credit: NASA
4月は、北米の中部から東部にかけて平年よりも気温がかなり低くなりましたが、それ以外のほとんどの地域では平年を上回っています。特に、ヨーロッパおよびロシアの中央から東部にかけては、著しく暖かい4月になりました。
1881年から1910年までの世界平均気温との偏差。各月の値は、それぞれの月までの平均値(例えば、2月は1月と2月の偏差の平均。6月は1月から6月までの偏差の平均。)。NASAのGISSデータから作成。
年初からの4か月間における平均気温偏差(基準年: 1881年~1910年))は、観測史上最高を記録した2016年(+1.51℃)と同2番目だった2017年(+1.33℃)、そして同3番目の2015年(+1.13℃)を下回る+1.12℃で、同期間としては4番目の暑さでした。
さて、今後の気温の見通しについて、NASAゴッダード宇宙研究所の気候科学者であるギャビン・シュミット氏が予想しています。
2018 will end up being a top-5 warmest year. pic.twitter.com/eWWhGdapgo
— Gavin Schmidt (@ClimateOfGavin) May 16, 2018
グラフ右端の緑色のバーは、中央値が観測史上5番目を、範囲は14番目の暖かさあたりまでカバーしていますが、これに続くツイートのやり取りを見ると、2018年の暑さが観測史上5番目までに入る確率は66%で、10番目までに入る確率が92%となっています。
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