2018年12月2日からポーランドのカトヴィツェで「国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)」が開催されていますが、今後数年間の国際的な取り決め次第で人類の未来が決まるという切羽詰まった状況になっても、気候変動の原因である温室効果ガスを大量に排出してきた先進国が、被害者である後発開発途上国に対する譲歩の姿勢を見せないために、パリ協定のルール作りが難航しています。
そんな中、数か月前から母国スウェーデンで遅々として進まない気候変動対策に抗議するために学校をボイコットして国会前で座り込みを始めた15歳のグレタ・トゥーンベリさんが、COP24で世界のリーダーたちに向けてスピーチを行いました。
気候変動対策を求めてスウェーデンの国会前で座り込みを始めた15歳のグレタ・トゥーンベリさんによるCOP24でのスピーチ。セヴァン・カリス=スズキが1992年にアースサミットで行った伝説のスピーチに重なる。ストレートな言葉は強い。 https://t.co/BE3BtOrgS0 #COP24 #気候変動 #気候正義
— 気候変動の向こう側 (@Beyond_Climate) December 14, 2018
彼女のスピーチをざっと訳してみました。
心からのストレートな言葉と表現で、国際社会のリーダーを痛烈に批判しています。
わたしの名前はグレタ・トゥーンベリ、15歳。スウェーデンから来ました。気候正義の実現のために話しています。多くの人がスウェーデンは小さな国だと言いますが、国の大きさと行動は関係ありません。わたしは、世の中に影響を与えるための力が小さすぎる人はいないことを学びました。もしも少数の子どもたちによる(抗議活動のための)学校ボイコットが世界中でニュースの見出しになるのなら、わたしたちが本当にしたいことのために共に行動を起こせば何を成し遂げられるか、想像してみてください。でも、そのためには、たとえどんなに不快でも、わたしたちは明快に伝えなければいけません。あなたたちは、批判を恐れるあまり、環境に優しくて無限に続く経済成長の話しかしません。あなたたちは、(気候変動の脅威を避けるための)賢明な答えが緊急ブレーキを踏むことだけという状況になっても、わたしたちを混乱に導いた悪いアイデアを進める話しかしません。あなたたちは、たとえ負担がわたしたち子どもに押しつけられるとしても、ちゃんと話せるほど成熟していません。でも、わたしは他人からの評価に興味はありません。わたしが気にかけているのは、気候正義と生き生きとした地球です。現代社会は、ごく少数の人間が莫大なお金を手にし続けるために犠牲にされています。生物圏は、富裕層が贅沢に暮らすために犠牲にされています。一部の富裕層の贅沢のために、たくさんの苦痛が生まれています。わたしは2078年に75歳の誕生日を迎えます。もしもその時わたしに子どもがいたら、誕生日を一緒に過ごすでしょう。もしかすると、その時に子どもたちがあなた方についてわたしに尋ねるかもしれません。「まだ行動を起こせる時間があったのに、なぜリーダーたちは何もしなかったの?」と。あなたたちは、あなたの子どものことを「何よりも愛している」と言いながら、子どもの未来を子どもの目の前で奪っているんです。あなたたちが「政治的に何が可能か」ではなく、「何をするべきか」にフォーカスを移すまで、欠片の希望もありません。脅威は、脅威をそれとして扱わない限り解決できません。そのためには、化石燃料を地中に眠らせておくこと、そして公正さが必要です。今あるシステムの中にその解決法を見つけるのは不可能です。システムそのものを変えなければならないでしょう。わたしたちは、世界のリーダーたちにわたしたちを守ってとお願いしに来たのではありません。あなたたちは、これまでと同じように、わたしたちを無視するでしょう。言い訳も尽きて、残された時間もなくなってきています。わたしたちは、あなたたちが気に入ろうと気に入らなかろうと、世界に変化が起こっていることを伝えるためにここへ来ました。「真の力」は、「普通の人々」に宿っているのです。
企業や一握りの富裕層の富を増やすために表と裏で気候変動対策を遅らせようとする世界のリーダーたちに、グレタの言葉が伝わって大きな流れになるかどうかは、過酷な未来を生きることになる子どもたちだけじゃなく、僕たち大人の選択と行動にもかかっています。
僕たちひとりひとりが、世界を変えるための「真の力」を持っているはずなのですから。
まだ時間はあります。でも、残された時間はそんなに長くはありません。
同じことの繰り返しになりますが、「行動を起こすのは、今」です。
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