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みなさんは歴代最高の気候変動映画『ドント・ルック・アップ』をもう観ました?
天文学博士候補の学生がほぼ100%の確率で地球を直撃する彗星を見つけてしまったことから始まる政治やメディア、ソーシャルメディアなどの社会環境をおもしろおかしく描いているこの映画が風刺しているのは、気候変動をめぐる環境そのものです。
科学者が警鐘を鳴らしても政治は都合良く無視したり利用したりして、メディアは視聴率やクリック数がすべてで、話題性がないと判断したら、事態がどんなに深刻でも事実を伝えようとしなくなり、ソーシャルメディアでは迫り来る危機なんてそっちのけでイデオロギーに沿って陰謀論をばらまく人が出てくる始末。そして人類滅亡の危機を回避することよりも利益を追求し、テクノロジーでなんとか乗り切ろうとするIT大富豪。
こういった問題と気候変動がつながっていると言われてもピンとこない人が観ると、その辺がぼんやりと見えてくるかもしれません。
また、長い期間気候変動に関わってきた人にとっては、涙なしでは観ることができないコメディ映画で、あまりの既視感に怒りや悲しみ、切なさが入り乱れるジェットコースター映画だと思います。
映画の半ばで、天文学博士を演じるディカプリオがワイドショーでブチ切れる場面があって、そこで「いつもいつも賢そうだったり、魅力的だったり、好感を持ってもらえるように振る舞ったりする必要なんてないじゃないか。ときには、ただ言いたいことを伝えあったり、耳を傾けたりしなきゃいけないんだ」と話すのですが、監督のアダム・マッケイは、この映画で伝えたかったことはそこに詰まっていると話しています。
自分の言葉で、自分の考えや想いを伝える。そして相手の考えや想いに耳を、心を傾ける。今の分断した社会にもっとも必要で大切なものを、この映画は笑いの中に散りばめているんだと思います。
気候変動の影響を受けている多様なバックグラウンドを持つ人々の考えや想い、ストーリーを伝える。それは、今のメディアに欠けているものでもあります。
数字やデータ、科学的事実を賢そうに伝えても、人々の心には届きません。人々の心を動かすのは、それぞれの人が持っているストーリーです。いろんな人がいろんな色の言葉や表現を使って伝えるストーリーに触れることで、気候変動を止めるための集団的な行動につながっていくと思います。
このポッドキャストも、そんないろんな人のストーリーを伝えていきたいなって思っています。
映画の最後のシーンで、脚本にないのにその場でディカプリオが提案したというセリフが、今の世の中をよく表していました。
「僕たちは必要なものをすべて手にしていたんだって思わないか?」
Let's look up together.
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