楽観的なシナリオを用いても、パリ協定の目標「2℃未満」を達成できる可能性は5%という研究結果

  これまでに、産業革命前から今世紀末までの気温上昇を2℃未満に抑える条件や、1.5℃未満に抑えるにはどうすればいいのか、産業革命前からこれまでに気温がどれくらい上昇しているのか、気候変動の原因となっている温室効果ガスの累積排出量が1.5℃と2℃上昇の壁を超えるのがいつなのか、今すぐに温室効果ガス排出量をゼロにすると気温はどれくらい上昇してしまうのかについて解説してきました。   また、先日紹…

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世界191か国における過去117年間の気温上昇をアニメーショングラフで見てみましょう

  これまでに、このブログで世界平均気温上昇の様子がよくわかるGIFアニメーションのグラフをいくつか紹介してきました(『1850年以降の気温上昇をスパイラルのGIFアニメーショングラフで見てみましょう』や『1881年以降における月別の世界平均気温の上昇と直近2年の極端な暖かさがわかるGIFアニメ』など)が、いずれも「世界平均気温」で、これまでに国別の平均気温の変遷を表したアニメーショングラフを作…

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夏がどんどん暑くなっているのをグラフで確認してみましょう

  夏が来るたびに、「記録的な猛暑」や「殺人的な暑さ」などという表現が用いられるほど、極端に暑い日が目立つようになってきました。また、それに伴って、山火事や集中豪雨のニュースもよく見聞きするようになった印象があります。   実際のところ、夏は本当に暑くなっているのでしょうか?   ニューヨークタイムズ紙が、元米航空宇宙局(NASA)の気候科学者ジェームズ・ハンセン氏らのデータを元に、1951…

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1881年以降における月別の世界平均気温の上昇と直近2年の極端な暖かさがわかるGIFアニメ

  ここ数年で、産業革命以前から未来のシナリオに至るまで、気温の変化がひと目でわかるグラフやGIFアニメーションがずいぶんと増えてきました。   代表的なのは、このブログでも取りあげたことがある、英レディング大学の気候科学者であるエド・ホウキンス氏が英気象庁のHadCRUT4のデータを基に作成した、1850年以降の各月における世界平均気温偏差(基準年は1850年から1900年)をわかりやすく視…

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2月のアメリカが極端に暖かかったことを示すデータ  日毎の最高気温の記録更新数が最低気温の記録更新数の64倍

  2017年2月のアメリカは、広い地域で異様に暖かい期間が数回にわたって訪れたため、各地で日毎の最高気温が観測史上最高を更新する一方で、日毎の最低気温の記録更新が少ない、極端な気候となりました。   クライメート・セントラルによると、2月22日までの時点では、日毎の最高気温が過去最高を記録したのが3,146件だったのに対し、日毎の最低気温が過去最低を更新したのは27件と、その比率は116対1…

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2017年は観測史上3番目の暑さに  英気象庁予想

  世界の主要気象機関による公式なデータはまだ発表されていませんが、2014年と2015年に続いて2016年の世界平均気温が3年連続で観測史上最高を更新するのは間違いありません。   そこで気になるのは、「2017年はどうなるの?また観測史上最高を更新するの?」というところだと思います。   英気象庁が昨年末に発表した世界平均気温の予想によると、2017年は2016年、2015年に次いで観測…

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今すぐに二酸化炭素の排出を止めても気温は最悪の場合7℃上昇するという研究結果 著名な気候科学者たちは否定的

  これまでに発表された研究結果で、世界平均気温の連続した再構築期間が最も長いのは22,000年でした。それを超える長期間の気温変化を表すグラフは、いくつもの研究結果をつなぎ合わせて作られています。   現在は米環境保護庁(EPA)に勤めるキャロリン・スナイダー氏が米スタンフォード大学博士課程在籍時に執筆し、科学誌「ネイチャー」に掲載された研究 (Snyder 2016) では、海洋の堆積物に…

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2017年は今年よりも涼しい年になる見通し  NASA気候科学者

  世界平均気温は2014年、2015年と2年連続で過去最高を更新中で、今年も米航空宇宙局(NASA)と米海洋大気局(NOAA)のデータではすべての月で観測史上最高を記録しており、NASAゴッダード宇宙研究所のギャビン・シュミット氏は、99%以上の確率で昨年を上回って今年が最も暑い年になると指摘しています。   そのシュミット氏が、今年末の世界平均気温に加え、来年(2017年)の気温も予測して…

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「気候はずっと変動してきた」という否定派の根強い言説に対しウェブコミック著者の描いたグラフが話題に

  「気候はずっと変動を続けてきた。なぜ今さら心配する必要があるんだ?」   人為的気候変動否定派がよく使う言葉です。   最初の文は事実です。気候は常に変動してきました。軌道の変化や地球の傾き、振動の変化、火山の噴火などによって気候は大きくも小さくも変動します。氷期になれば4℃から7℃気温が下がり、最終氷期末期だった約2万年前、米マサチューセッツ州ボストンは1.5km以上の厚さの氷に覆われ…

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【NASA】 現在の気温上昇ペースは過去1000年で最速  1.5℃未満達成の可能性は10%以下

  『産業革命前からこれまでの気温上昇は何度なの?1.5℃にどれくらい迫ってるの?』で、米航空宇宙局(NASA)、米海洋大気局(NOAA)、そして気象庁を統合して1891年から2016年7月までのデータ分析したところ、約125年で世界平均気温は約1.3℃上昇していました。 世界平均気温の偏差(基準年は1891年~1920年)。NASA、NOAA、気象庁の世界平均気温データを元に算出。   「…

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2300年までの気温上昇を折れ線GIFアニメーショングラフで見てみましょう

  英レディング大学の気候科学者であるエド・ホウキンス氏が世界平均気温のスパイラルGIFアニメーションを作成して話題になってから、触発されたのかビジュアライゼーションに目覚める気候科学者が増えてきました。   今回は、まず米航空宇宙局(NASA)ゴッダード宇宙研究所のディレクター、ギャビン・シュミット氏が作った世界平均気温の折れ線グラフ(上)を、同地球観測研究所(Earth Observa…

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1850年以降の気温上昇を世界地図で見てみましょう

  気候変動による気温や二酸化炭素濃度(排出量)の話題は、難しい専門用語で埋め尽くされた文章で伝えるよりも、画像や映像を用いる方がわかりやすくインパクトも強いことは、英レディング大学の気候科学者であるエド・ホウキンス氏による世界平均気温のスパイラルアニメーショングラフの反響が大きかったことで再認識されたように感じます。   ホウキンス氏は、気候変動問題に関してこれまでとは違う方法でコミュニケー…

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人為的温暖化はこれまで考えられていたよりも早く始まっていたという研究結果

  産業革命以降に排出された二酸化炭素を含む温室効果ガスによって人為的地球温暖化が始まったのは広く知られていますが、「2100年までの気温上昇を産業革命前と比較して2℃未満に抑える」という、気候変動でよく見聞きする目標における「産業革命前」のベースラインをIPCCは1850年から1900年としていることはあまり知られていないと思います。   でも、実際のところは米航空宇宙局(NASA)と米…

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【NASA気候科学者】2016年前半はとてつもない暑さ&エルニーニョなしでも過去最高&今年が最も暑い年になる確率は99%

  日本の気象庁、米海洋大気局(NOAA)、米航空宇宙局(NASA)による6月の世界平均気温が出揃い、すべての気象機関のデータは、世界が観測開始以来最も暑い6月、そして最も暑い上半期(1月から6月)を経験したことを示しました。この3つの気象機関の2016年1月から6月までの気温データ(合計18ヶ月)で各月の過去最高を記録しなかったのは、日本の気象庁による5月の世界平均気温のみで、それも前年を0.…

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5月を終えた時点でも99%の確率で2016年は最も暑い年になるとNASA気候科学者

  米航空宇宙局(NASA)による観測データで、2016年5月は1880年の観測開始以来同月として最高の世界平均気温を記録し、2015年10月から8ヶ月連続で過去最高を更新しているという記事を書きました。   また、日本の気象庁は昨年5月から今年4月まで世界平均気温は12ヶ月連続で各月の観測史上最高を更新し(今年5月は昨年の最高記録を0.01℃下回り連続記録更新は止まりました)、米海洋大気局(…

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暑すぎて高速道路で車がジャンプするハプニング  米ミネソタ州

  気候変動によってこれまで滅多になかったような暑さが「普通」になってくると、これまで起こらなかったことが起こったり、滅多に起こらなかった珍しい現象が頻繁に起こるようになります。代表的な例として、熱波や寒波、大干ばつや集中豪雨、洪水、高潮による浸水などを挙げることができます。   先日、米ミネソタ州の高速道路で、暑さによって高速道路を走行中の自動車が相次いでジャンプする出来事が起こりました。 …

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99%以上の確率で2016年は最も暑い年に  NASA気候科学者

  英気象庁が昨年12月に2016年の世界平均気温を予測したところ、2015年を下回る確率が5%未満だったという内容の「2016年は95%の確率で最も暑い年に」が今年(2016年)に入ってからこのブログで最も読まれていますが、4月までの世界平均気温が予想を大きく上回る異常な暖かさになったことから、今となっては英気象庁による見積りは甘かったと言っていい状況です。 1951年から1980年までの世…

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たかが0.5℃、されど0.5℃~気温上昇1.5℃と2℃には大きな違いがあるという研究結果

  2015年に世界195ヶ国が合意した「パリ協定」では、「2100年までの気温上昇を産業革命前と比較して、1.5℃に限りなく近い2℃未満に抑えること」を目標と定めましたが、現在の二酸化炭素排出ペースでは2℃未満に抑えるのはかなり厳しく、今すぐに二酸化炭素排出量をゼロにしてもあと0.66℃気温が上昇するという研究結果もあるなど、先行き不透明よりもお先真っ暗という表現の方が近い状況です。   ま…

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極めて危険な気候変動が50年以内に起こるかもしれないという研究結果

  産業革命前からの気温上昇を2℃以内に抑えることができれば、温暖化による壊滅的な影響を避けることができると言われてきましたが、これは「たぶん大丈夫なんじゃないかな」という程度の政治的な数字で、確かな根拠はありません。もしかすると気温が3℃上昇してもなにも変わらないかもしませんし、逆に1.5℃の上昇でも壊滅的な影響を受けるかもしれません。   また、気温上昇を2℃未満に抑えても、数千年かけて海…

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2030年までに気温が2℃上昇する可能性があるという研究結果

                   Credit: FreeImages.com/Keith Syvinski   経済成長と人口増加に伴うひとりあたりのエネルギー消費量の増加によって、今後2020年までに産業革命前よりも世界の平均気温が1.5℃、2030年までには2℃を超える可能性があるというオーストラリアの研究チームによる論文が、科学誌「Plos One」に掲載されました。   この研…

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