「未来の世代」は何年先まで?気温上昇が止まっても、海面上昇はつづくよ1万年

気候変動を含む環境問題ではよく「未来の世代」という言葉を見聞きします。私もよく使う言葉です。でも、いったい何年先の世代を「未来の世代」と呼ぶのかは、人や関心を持っている問題によって違ってくるのではないでしょうか。 何年先までが未来の世代? 原発なんかだと、高放射性核廃棄物は10万年先まで管理する必要があるので、まともな倫理観を持っている人は「未来」をそのあたりに設定するでしょう。 気候…

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海面上昇のペースが90年代以降に急加速  グリーンランドの氷床融解が主因

  気候変動による海面上昇の問題は、このブログでも何度か取りあげてきました。グリーンランドの氷床が全部とけて海に流入すれば約7メートル、西南極の氷床融解は約3メートルの海面上昇につながるといわれており、気候変動問題で度々話題にのぼる南太平洋やインド洋の海抜が低い島しょ国だけでなく、世界中すべての沿岸地域が深刻な影響を受けることになります。 【関連記事】◆ 南極の氷が予測より速く融解  今世…

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海洋の温暖化によって病気を引き起こすバクテリアが増加しているという研究結果

  「地球温暖化」と聞くと、地球の平均気温の上昇を思い浮かべる人がほとんどだと思いますが、二酸化炭素などの温室効果ガスによって宇宙へ放射されずに地球にとどまった余剰熱の90%以上は海洋が取り込んでいます。そして海洋の温度が上昇すると熱膨張を起こすため、海面が上昇します。グリーンランドや南極の氷床、山岳の氷河の融解によって海に流れ込む水と海洋の熱膨張が原因で、海面上昇は過去2,800年で最速に…

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気候変動が原因で雲の発生地域と高さに変化  気温上昇を加速か

  気候変動の科学の中で、最も不確実性が高い分野のひとつといわれているのが、温暖化に対する雲の役割です。雲は、地球に入ってくる太陽エネルギーを宇宙へ反射して気温上昇を防ぐ反面、地球から宇宙へ放射される熱を閉じ込めて地表の温度を上昇させる役割を果たしています。そして、雲が発生する地域や高度によって、温暖化を促進するのか(正のフィードバック)、抑制するのか(負のフィードバック)が決まります。   …

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気候変動によって海中の酸素が減少するという研究結果

  気候変動による余剰熱の90%以上が海洋に取り込まれ、海水温が上昇しているという話を以前にしたことがあります。温度が上昇すると海水は膨張し、海面上昇に繋がります。   他にも、ほとんどの人が注目していない海水温の上昇による弊害があります。   温度が上昇すると、海水にとけこむ酸素の量が少なくなります。また、冷たい水は沈みやすく温かい水は沈みにくいという特徴によって、海水温が上昇すると従来の…

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雲による温暖化抑制効果を高く見積もりすぎていたため、従来の予測よりも気温が上昇する可能性があるという研究結果

  雲が気候変動に与える影響は、気候科学の中でももっとも複雑で不確かな点が多い分野のひとつです。雲は、太陽からの放射エネルギーを宇宙へ向かって反射して温暖化を抑制する役割も果たしますが、地表から宇宙へ放射される熱を閉じ込めて地表を温める役割も持っています。これまでの研究では、温暖化を抑制する効果よりも、熱を閉じ込めて気温を上げる効果の方が大きいという説が有力ですが、まだ確立した科学ではありま…

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温暖化による海面上昇と人口増加が原因で、2100年までに米沿岸地域で最大1300万人が移住を迫られるかもしれないという研究結果

  2100年までに、地球温暖化による海面上昇と人口増加が原因となり、アメリカの沿岸地域で最大で1300万人が移住を余儀なくされるかもしれないという研究結果(Hauer et al. 2016)が、科学誌「ネイチャー・クライメートチェンジ」に掲載されました。   これまでに発表された研究では、現時点での数字を用いて海面上昇の影響を受ける人口を推定していましたが、それでは実際に影響を受ける人口よ…

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20世紀の海面上昇のペースが過去2800年で最速に  温暖化が主な原因

  海面上昇が過去2800年で最速のペースで進んでおり、20世紀の海面上昇の半分以上が人為的地球温暖化によるものであった確率が95%以上という研究結果が、米科学誌「米国科学アカデミー紀要」に発表されました。また、同研究は2100年までに最大で131センチメートル海面が上昇する可能性があると指摘しています。   研究チームは、世界24ヶ所の珊瑚礁や湿地帯、フィヨルドなどから、過去3000年にわた…

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40億人が1年のうち最低でも1ヶ月間は深刻な水不足を経験

  世界の人口の約3分の2にあたる40億人が、1年のうち最低でも1ヶ月間は深刻な水不足(水の消費量が降水量の2倍)に見舞われており、これまでの推定よりも状況が悪化しているという研究結果が、サイエンス・アドバンス誌に発表されました。また、同研究は約5億人が1年を通じて深刻な水不足に陥っていると指摘しています。 1996年から2005年の間に、1年のうち何ヶ月間深刻な水不足(水の消費量が降水量の2…

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陸地がより多くの水を蓄えたことで海面上昇の速度が緩和

  2002年から2014年の間に、海洋からより多くの水分が蒸発して陸地へ循環し、土壌や湖、地下水脈などに蓄えられたことによって海面上昇の速度を緩和していたという研究結果を、米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所とカリフォルニア大学アーバイン校の共同チームがサイエンス誌に発表しました。   IPCC報告書の海面上昇に関するセクションやこれまでの研究では、海面上昇は陸地の氷床と氷河の融解によ…

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温暖化の熱の90%が海へ うち35%以上が700メートルよりも深い海域に蓄積

  直近20年間に海洋が吸収する地球温暖化による余剰熱の量が急増し、その35%を水深700メートルよりも深い海域が吸収しているという研究結果を、米ローレンス・リバモア国立研究所の研究チームが科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に発表しました。  この研究は、気候変動懐疑派が話題にする「温暖化ハイエタス」と呼ばれる、エルニーニョで異常に暑かった1998年以降に緩やかになった気温上昇の原因が…

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温暖化による水資源バランスの変化で今世紀半ばまでに水力・原子力・火力発電の供給容量が激減する可能性

  地球温暖化による水資源バランスの変化と水温の上昇が原因で、水によってタービンを回して発電する水力発電所と、発電時に生じる熱の冷却に水を用いる原子力発電所と火力発電所が影響を受け、時期によっては今世紀半ばに電力供給量が最大で約30%減少するという研究結果が、科学誌「ネイチャー・クライメートチェンジ」に発表されました。 水力発電と水を冷却に用いる原子力・火力発電による電力の総供給量を a) 地…

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温暖化で海面が約9メートル上昇し6億人に影響する可能性

  海面が6メートル上昇するとどうなるのか?という記事で、Climate Centralのマッピングツールを用いて作成された、気温が2℃上昇した場合と、4℃上昇した場合の、米主要都市における海面上昇の比較地図を掲載しました。   Climate Central の最新のレポートによると、現在と変わらず二酸化炭素排出を続けると、気温は4℃上昇するそうです。  このレポートでは、気温上昇を1.5℃…

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