2020年にオリンピックが開催される東京は本当に暑くなっているのか?

  日本を含め、ここ数週間は世界各地を熱波が襲っています。西日本の集中豪雨による被害で避難生活を強いられている被災者にとっては、命にかかわる暑さになっています。   この熱波による影響で、「2020年の東京オリンピックはこんな暑さの中で開催しては危険」「秋に開催するべき」という声がSNSを中心に大きくなっています。   「昔はこんなに暑くなかったが、ここまで暑くなると危険」という声を、気象庁…

続きを読む

相次ぐ「死の熱波」に関する研究結果が描く未来

  近年、気候変動による気温上昇が要因の一部とされる極端な気象現象の増加や、その規模の深刻化が世界中で懸念されるようになってきました。   極端な気象現象の中で最も気候変動との関連性が明確とされるのが、寒波と熱波です。どちらも気温以外の複雑な条件が少ないため、温暖化が進めば夏には熱波が、冬には寒波がともに極端化しやすくなると言われています。   今夏も、米南部や西部(北西部)、ヨーロッパなど…

続きを読む

ハイチで300人を超える死者を出したカテゴリー4のハリケーン「マシュー」が米フロリダ州に接近  上陸すれば2005年の「ウィルマ」以来

  ハリケーン「マシュー」がカリブからアメリカのフロリダ州にかけて猛威を振るっています。   9月29日にカテゴリー1になった後、24時間以内にカテゴリー5まで一気に勢力を強めたマシューは、その後ハイチに上陸して300人以上の死者を出し、バハマを通過してカテゴリー4の勢力(最大風速が毎秒58メートル)を保ったままフロリダ州の東海岸に向かって北上を続けています。   もしもマシューがこ…

続きを読む

8月に米ルイジアナ州を襲った記録的な集中豪雨に気候変動の影響が見られたという研究結果

  8月に米ルイジアナ州で洪水によって13人が死亡、3万人がレスキューによって救助され、6万戸を超える家屋損壊の被害が出る原因となった1週間の集中豪雨に気候変動が寄与していたことが、米海洋大気局(NOAA)などによる研究(van der Wiel et al. 2016)でわかりました。 ルイジアナ州における8月12日から14日までの降水量(単位: インチ[1インチ=約2.54cm])Cr…

続きを読む

南カリフォルニアで発生した大規模な山火事がやっと73%鎮火

  干ばつが続く米カリフォルニア州南部のサンバーナーディーノで2016年8月16日に発生した大規模な山火事による延焼面積は20日までに37,020エーカー(約150平方キロメートル)に達し、100棟を超える家屋とその他の建物200棟以上が焼失し、8万人以上の住民が避難を強いられています。 Embed from Getty Images   ブルー・カット・ワイルドファイヤーと呼ばれている…

続きを読む

ロシア北部で炭疽病が流行し子ども1人が死亡、90人超が入院  気候変動が寄与か

  ロシア北部の遊牧民が多く暮らすヤマロ=ネネツ自治管区のサレハルドで、融解した永久凍土から露出したとみられる炭疽菌が拡散し、12歳の少年1人が死亡、90人以上が入院しています。また、トナカイ2300頭も炭疽が原因で死ぬなど、異常事態に陥っています。   シベリア西部のこの地域にとって、炭疽病が流行したのは初めてではありません。1941年を最後に炭疽病の発症はみられませんでしたが、その当時に炭…

続きを読む

異常気象などの気候関連災害が紛争発生のリスクを高めるという研究結果

                    Credit: Shiny Things/flickr   世界で起こっている紛争や戦争と気候変動との関連性について、ここ数年活発に研究が行われています。このブログでも取り上げましたが、シリアで2011年から続いている内戦は、気候変動が原因の一部となっている過去900年間で最悪の干ばつがきっかけになったという研究結果も発表されています。   しかし、こ…

続きを読む

「ヒートドーム」が原因で米本土の広い範囲と中東に記録的な熱波

  金曜日(2016年7月22日)から、アメリカ本土は記録的な熱波に見舞われています。金曜日に気温が32.2℃(華氏90度)を超えなかった州は、米北西部のワシントン州だけという暑さでした(ワシントン州シアトルは21℃を少し超えたくらいだったとか)。 Credit: NOAA   上の地図は、7月23日(土)の米本土の予想体感最高気温を表示しています(華氏100度は37.8℃)。アリゾナ州フェ…

続きを読む

熱波による死者のうち、人為的気候変動が原因の人数を特定したという研究結果

  近年、異常気象と気候変動の関連性については、コンピュータの進化に伴って気候変動の寄与をより明確にできるようになってきており、温暖化が一部の極端な気象現象の激化・増加に寄与しているという研究結果も発表されています。   熱波は、寒波と並んで気候変動との関連性が最も高い極端な気象現象のひとつで、これまで熱波と健康の関連性、熱波が人を死に至らしめる原因になっているという研究結果は発表されてきまし…

続きを読む

カナダのアルバータ州で起こっている大規模な山火事はオメガブロックと呼ばれる気象現象が原因

  日曜日(5月1日)にカナダのアルバータ州フォート・マクマレーで始まった大規模な山火事の勢いは、金曜日(5月6日)になってもおさまる気配を見せていません。   鎮火した地域は焼け野原のようになり、炎上した自動車が折り重なっている様子が消火にあたった消防士によって撮影されています。 #ymmfire My dad is one of the heroes   フォート・マクマレーの山火事が…

続きを読む

カナダのアルバータ州で山火事が発生  8万人が避難

  エルニーニョ現象の影響を受けて、暖かく乾燥した冬を過ごしたカナダ西部のアルバータ州フォート・マクマレーで大規模な山火事が発生し、8万8千人の住民が避難を強いられています。これを受けて、アルバータ州は非常事態宣言を発令し、消火作業を急いでいます。Wildfire Spreads in Fort McMurray https://t.co/WP4HnKjL7T #NASA pic.twitter…

続きを読む

テキサス州ヒューストンで集中豪雨 洪水により8人死亡

  米テキサス州ヒューストンとその近郊を襲った集中豪雨による洪水で8人が死亡、1000棟以上の建物が浸水するなど、その被害総額は5500億円を超えると伝えられています。   ヒューストンの一部の地域は、24時間で430ミリという、ユタ州ソルトレークシティーの1年間の降水量を上回る集中豪雨に見舞われました。ヒューストン市内の至る所で道路が冠水し、多くの自動車が取り残されています。   現時…

続きを読む

シリアの干ばつが過去900年で最も深刻という研究結果  内戦勃発のきっかけとも

  内戦に加え、長引く干ばつに見舞われているシリアですが、内戦が始まる以前からレバント地方で続いてきた長期的な干ばつは、近代において最も深刻なだけではなく、最低でも過去500年間、最大で過去900年以上の歴史の中で最悪の干ばつだったという研究結果(Cook et al. 2016 )が科学誌「地球物理研究ジャーナル(Journal of Geophysical Research)」に掲載されまし…

続きを読む

米で竜巻の多発する頻度が増加、激しさも増すという研究結果  現在のところ原因は不明

                      Credit: NSSL   アメリカで、同時期に近隣地域において竜巻が多発する「トルネード・アウトブレーク」と呼ばれる現象の頻度が増加、また、アウトブレークが起こったときに発生する竜巻の平均数も増加し、竜巻の激しさも増しているという研究結果が、科学誌「ネイチャー・コミュニケーション」に掲載されました。   竜巻は、最も大きな被害をもたらす気象現象…

続きを読む

20年に一度の熱波が2075年には毎年起こるようになるという研究結果

     Credit: Charlie & Melody Wambeke   このまま気候変動対策をとらずにいると、現在20年に一度の確率で起こる熱波が、2075年には世界の半分以上の場所で毎年起こるようになるという研究結果が科学誌「クライマティック・チェンジ」に掲載されました。また、同研究では、未来に起こる熱波は現在よりもさらに激しいものになると指摘しています。   研究の執筆者…

続きを読む

2015年に大規模な干ばつなどの自然災害による影響を受けた人は約1億人  国連機関報告

  2015年に大規模な干ばつや熱波、洪水など、気象や気候関連の自然災害の影響を受けた人は世界で9,860万人にのぼるという分析結果が、国連国際防災戦略(UNISDR)から報告されました。   レポートによると、観測史上最も暑い年だった2015年は、気候変動とエルニーニョの影響で世界各地で大規模な干ばつが32件報告され、5千万人を超える人たちが影響を受けました。この32件という数字は、直近10…

続きを読む

アメリカの山火事による延焼面積が2015年に初めて1千万エーカーを超える

  2015年12月23日時点で9,937,863エーカー(約40,217平方キロメートル)だったアメリカにおける2015年の山火事による総延焼面積は、12月31日までに10,125,149エーカー(約40,975平方キロメートル)となり、史上初めて1千万エーカーを超えました。 アメリカにおける森林火災や野火による年平均延焼面積(単位: 百万エーカー)   森林火災や野火による延焼面積が90…

続きを読む

2015年は米で山火事の延焼面積と消火活動費用が最大の年に

  2015年にアメリカが森林火災や野火によって焼失した面積は、12月23日時点で9,937,863エーカー(約40,217平方キロメートル)と、過去最大だった2006年の9,871,863エーカー(約39,950平方キロメートル)を上回り、史上最大面積を記録することが確実となっています(全米省庁合同火災センター調べ)。また、USAトゥデイによると、米農務省林野部が消火活動に使った費用の総額は1…

続きを読む

世界各地で異常気象相次ぐ

  年末年始が迫る中、世界各地で異常気象が相次いで起こっています。   テキサス州やアラバマ州、ミズーリ州、ミシシッピ州などの米南部と中西部では、トルネードや激しいストームによる洪水が発生し、43人の死者と1000棟以上の建物が損壊するなどの甚大な被害が出ています。テキサス州ダラス・フォートワース大都市圏では、12月にしては最大規模の改良藤田スケールでEF4のトルネードが発生し、11人が死亡し…

続きを読む

温暖化が一部の異常気象を激化・増加させているという研究結果

  米海洋大気局(NOAA)が発表した研究論文「気候から読み解く異常気象2014年度版」によると、32の科学者グループが研究を行った2014年に世界で起こった異常気象28件のうち、半数の14件が気候変動の影響を受けており、残りの半数からは気候変動の影響が見られなかったとのことです。   NOAAによるこのレポートの発表は、今回で4年目と、研究分野としては大変若く、気候変動の影響を測る方法が…

続きを読む