大気汚染による世界の経済損失は5兆ドル(510兆円)以上  世界銀行

  屋内外の大気汚染が原因で年間に約550万人が早死にしているという記事(『大気汚染で年間に550万人が早死に  半分以上が中国とインド』)を以前に書きました。世界保健機関(WHO)は、大気汚染が開発途上国に最も深刻な影響を与えているという調査結果を発表しています。また、石油・ガス産業による大気汚染が原因で、2025年までにアメリカで夏の間に子どもたちが合計で75万回ぜんそく発作を起こすようにな…

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北極圏のあらゆる地域における氷の減少がホッキョクグマ存続の脅威に

  温暖化が他の地域と比較して2倍の速さで進み、減少を続ける海氷の影響を受けやすいことから、ホッキョクグマは地球温暖化の象徴として取りあげられてきました。   海氷面積が減少したことによって、本来はほとんどの時間を氷上で過ごすはずのホッキョクグマの陸地で過ごす時間が増えたため、人間と遭遇する機会も増えるという研究結果も発表されています。   急激に進む北極圏の温暖化と激減する海氷が、将来…

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ダコタ・アクセス・パイプライン建設に出資している銀行 ~ 環境差別に手を貸す金融機関

ここまでの話・ パイプライン建設に先住民が抗議の座り込み  環境正義問題へと発展・ 【アップデート】ダコタ・アクセス・パイプラインに一時的な建設中止命令・ 米連邦3省庁がダコタ・アクセス・パイプライン建設の一時中止を発表   米ノースダコタ州からイリノイ州を結ぶダコタ・アクセス・パイプラインの建設を巡って、建設ルートの近くに居留区があり、1kmに満たない場所でパイプラインがミズーリ川の下を…

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北極の海氷は観測史上2番目に小さな最小面積を記録

  米国立雪氷データセンター(NSIDC)は、9月10日に北極の海氷が最小に面積到達したとみられ、2012年に次いで観測史上2番目に小さくなったと発表しました。   北極の海氷面積は9月10日に414万平方キロメートルを記録した後に拡大し始めたことから、NSIDCは10日時点の面積が今年の最小記録であるとしています(過去にいったん拡大を開始してから再融解して最小面積を記録したことがあるため、公…

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【気象庁】8月の世界は観測史上2番目の暑さ

  気象庁が発表したデータによると、2016年8月は1891年の観測開始以来同月としては2番目の暑さになりました。また、今年に入ってから5月と8月を除くすべての月で観測史上最高を記録しています。 細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。Credit: 気象庁   8月の世界平均気温…

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「気候はずっと変動してきた」という否定派の根強い言説に対しウェブコミック著者の描いたグラフが話題に

  「気候はずっと変動を続けてきた。なぜ今さら心配する必要があるんだ?」   人為的気候変動否定派がよく使う言葉です。   最初の文は事実です。気候は常に変動してきました。軌道の変化や地球の傾き、振動の変化、火山の噴火などによって気候は大きくも小さくも変動します。氷期になれば4℃から7℃気温が下がり、最終氷期末期だった約2万年前、米マサチューセッツ州ボストンは1.5km以上の厚さの氷に覆われ…

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【NASA】8月も世界は最も暑かった  11か月連続で過去最高を記録

  米航空宇宙局(NASA)の発表によると、2016年8月の世界平均気温は同月として観測史上最高を記録し、昨年10月から続いている各月の観測史上最高記録の更新はこれで11ヶ月連続となりました。 1880年から2016年までの8月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における8月の平均気温。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。…

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ラニーニャ現象が発生していたり発生しなさそうだったりっていったいどういうこと?

  日本の気象庁は、赤道太平洋付近における8月の海表面温度と大気循環の状況から、ラニーニャ現象がすでに発生しているとみられ、今後冬にかけて70%の確率で継続するであろうと発表しました。   そうか、ついに、やっと世界平均気温を下げてくれるラニーニャが始まったのか。   だが、しかし・・・・・。   米海洋大気局(NOAA)の気候予測センターは、赤道太平洋付近の海表面温度はラニーニャに近い状…

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8月の北極の海氷は観測史上4番目に小さな面積に  過去最小の最大面積は上回る見通し

  米国立雪氷データセンター(NSIDC)によると、2016年8月の北極の海氷は観測史上4番目に小さい平均面積を記録しました。今年に入ってから北極の月平均海氷面積が過去最小にならなかったのは、3月と7月に次いで3度目でした。また、どうやら9月の最大海氷面積が観測史上最小を記録するのは回避できる見通しです。 2012年から2016年における6月から10月までの北極の平均海氷面積(単位: 百万平方…

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米連邦3省庁がダコタ・アクセス・パイプライン建設の一時中止を発表

ここまでの話 ・ パイプライン建設に先住民が抗議の座り込み 環境正義問題へと発展 ・ 【アップデート】ダコタ・アクセス・パイプラインに一時的な建設中止命令   ノースダコタ州からイリノイ州を結ぶダコタ・アクセス・パイプラインの建設を巡り、スタンディングロック・スー族をはじめ、100を超える先住民グループがノースダコタ州の居留区近くで約1か月にわたって抗議活動を行い、建設業者側…

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8月に米ルイジアナ州を襲った記録的な集中豪雨に気候変動の影響が見られたという研究結果

  8月に米ルイジアナ州で洪水によって13人が死亡、3万人がレスキューによって救助され、6万戸を超える家屋損壊の被害が出る原因となった1週間の集中豪雨に気候変動が寄与していたことが、米海洋大気局(NOAA)などによる研究(van der Wiel et al. 2016)でわかりました。 ルイジアナ州における8月12日から14日までの降水量(単位: インチ[1インチ=約2.54cm])Cr…

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石油とガスが原因で延べ75万人の子どもが夏にぜんそく発作を起こすようになるという研究結果  米環境保護団体

  石炭や石油、ガスなどの化石燃料がもたらす弊害は二酸化炭素排出による気候変動だけでないことは、これまでにも記事にしてきました。化石燃料の使用が主な原因の大気汚染により年間550万人が早死にしているという研究結果や、シェールガスの採掘に用いられるフラッキングに起因する大気や水の汚染、騒音などによる健康被害、フラッキング後のガス井に注入される使用済み廃液による地震の増加、石炭火力発電所が人種的…

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【アップデート】ダコタ・アクセス・パイプラインに一時的な建設中止命令

ここまでの話・パイプライン建設に先住民が抗議の座り込み  環境正義問題へと発展   ノースダコタ州からイリノイ州を結び、1日あたり47万バレル以上の原油を運ぶといわれる全長約1,800kmのダコタ・アクセス・パイプラインの建設に反対し、パイプラインが居留区の近くを通過するスタンディングロック・スー族をはじめとする先住民グループがアメリカとカナダから集結して数週間にわたって抗議活動を行ってき…

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90社が温室効果ガスの約3分の2を排出しているという研究結果

   気候変動会議などで世界の温室効果ガス排出量について語られる際には、国別の排出量が対象となっています。たとえば、「2011年のアメリカの二酸化炭素排出量は世界全体の17%、中国は27%を占めた」といった表現をよく見聞きします。   したがって、気候変動会議で温暖化の歴史的な責任を問う場合には、先進国対開発途上国のような図式となり、国家間で話し合いが続けられます。   しかし、はたしてそれ…

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パイプライン建設に先住民が抗議の座り込み  環境正義問題へと発展

  米ノースダコタ州とイリノイ州を結ぶ約1,800kmの「ダコタ・アクセス・パイプライン」の建設を巡り、建設ルート近くに居留区がある地元先住民「スタンディングロック・スー族」が、数週間にわたりキャンプを張って抗議の座り込みを行っています。また、全米から他の先住民も現地に応援に駆けつけ、ワシントンD.C.でも抗議活動が行われるなど、先住民に対する環境正義問題に発展しています。   建設予定のパイ…

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米オクラホマ州でM5.6の地震が発生  フラッキングが原因か

  2016年9月3日午前8時過ぎに、米オクラホマ州ポーニーの北西部においてマグニチュード5.6の地震が発生しました。この地震による大きな被害は報告されていませんが、オクラホマ州ではここ数年で人為的な地震が急増しており、今回の地震もシェールガスの採掘法であるフラッキングが関係している可能性が指摘されています。   米地質調査所(USGS)によると、マグニチュード5.6という規模は、2011年1…

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産業革命前からの気温上昇を1.5℃/2℃未満に抑えるためにはどうすればいいの?

  ここまで『産業革命前からこれまでの気温上昇は何度なの?1.5℃にどれくらい迫ってるの?』と『炭素収支が1.5℃と2℃の壁を超えるのはいつ?』で、産業革命前から何度気温が上昇しているのか、そして2100年までの気温上昇を産業革命前比で1.5℃と2℃未満に抑えるのを困難にする二酸化炭素排出量の壁を超えるのはいつ頃になるのかについて触れました。   今年7月までの時点で1890年からの気温上昇は…

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【NASA】 現在の気温上昇ペースは過去1000年で最速  1.5℃未満達成の可能性は10%以下

  『産業革命前からこれまでの気温上昇は何度なの?1.5℃にどれくらい迫ってるの?』で、米航空宇宙局(NASA)、米海洋大気局(NOAA)、そして気象庁を統合して1891年から2016年7月までのデータ分析したところ、約125年で世界平均気温は約1.3℃上昇していました。 世界平均気温の偏差(基準年は1891年~1920年)。NASA、NOAA、気象庁の世界平均気温データを元に算出。   「…

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マウナロア観測所の二酸化炭素濃度が一時的に400ppmを切る  熱帯性低気圧の影響か

  水曜日(8月29日)深夜から木曜日にかけてハワイをかすめた熱帯性低気圧「マデリーン」がもたらしたのは、強い雨風と高潮だけではなかったようです。   ハワイ島のマウナロア観測所のスクリップス海洋研究所が、熱帯性低気圧が接近した8月29日の日平均二酸化炭素濃度が400ppmを切ったことを同研究所のブログで発表しました。同研究所のラルフ・キーリング氏(二酸化炭素濃度を表すグラフの名称「キーリング…

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フラッキング(水圧破砕法)による健康問題

  以前、「フラッキング(水圧破砕法)って何?フラッキングの何が問題?」という記事で、「フラッキング(水圧破砕法)」と呼ばれるシェールオイル/ガスの採掘方式がもたらす様々な問題について取り上げましたが、今回はその中でフラッキングが人々の健康に与える影響について、いくつか研究結果を挙げてみます。 1. エール大学の研究チームが、広範囲でフラッキングによるシェールガス開発が行われているマーセラ…

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