未成年者8人が気候変動対策をワシントン州に求めた訴訟に勝利  州は新たな温室効果ガス排出量削減策を年内に公布へ

  今月(2016年4月)の初旬に、気候変動によってもたらされる世代間の不公正をなくすための行動を連邦政府に求めたオレゴン州の未成年者による訴訟が予想に反して次のステップへと進み話題になりましたが、今回はその隣のワシントン州で、未成年者8人が州政府に対して気候変動対策を求めて起こしていた訴訟で、キング郡上級裁判所判事がワシントン州エコロジー局に対し、2016年末までに新たな温室効果ガス排出量…

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「人道主義者」のプリンスが遺したもの ~ 環境団体を通じてソーラーパネルをオークランドの家に設置

  先日亡くなったミュージシャンのプリンス。  亡くなってから、生前に彼が密かに行っていた慈善活動が関係者によって明らかにされました。   オバマ政権でグリーンジョブの特別顧問を務めたこともあるヴァン・ジョーンズ氏は、より多くのアフリカ系アメリカ人の若者が環境関連の仕事に就けるようにと、カリフォルニア州ベイエリアで『Green For All』という環境団体を設立し、オークランドの家に太陽…

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米国地球物理学連合がエクソンモービル社とのスポンサー契約を継続すると発表

  気候変動によってもたらされる影響の深刻さを知りながら、長年にわたって嘘の情報を流し、世論や政治を操作して気候変動対策を妨害したことなどがポリシーに反するとして、今年(2016年)2月にジェイムズ・ハンセン氏やマイケル・マン氏などの会員を含む100人以上が連名で米国地球物理学連合(AGU: American Geophysical Union)の会長宛にエクソンモービル社とのスポンサー契約…

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【独り言】 175ヶ国が「パリ協定」に署名  希望で気候変動は止められない

  アースデイの4月22日に、ニューヨークの国連本部において、昨年12月にパリで開催された国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で合意を果たした「パリ協定」の署名式が行われ、米中や日本を含む175か国の代表が署名しました。1日で署名した数では、175ヶ国は最多だったそうです。   「歴史的」という言葉が目立つこの「パリ協定」への署名式ですが、個人的にはとても冷めた目で見ています…

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【独り言】アースデイが始まってからどれくらい気温が上昇しているのか調べてみた

  1970年から4月22日は「アースデイ」として定着し、今では世界中で様々なイベントが開催されるようになりました。   今年(2016年)のアースデイはニューヨークの国連本部において、昨年国際合意を果たした「パリ協定」に175ヶ国が署名をした歴史的な日となりました。そのことについては別の機会に触れるとして、アースデイが始まってからこれまでに気温がどれくらい上昇したのか気になったので調べてみま…

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たかが0.5℃、されど0.5℃~気温上昇1.5℃と2℃には大きな違いがあるという研究結果

  2015年に世界195ヶ国が合意した「パリ協定」では、「2100年までの気温上昇を産業革命前と比較して、1.5℃に限りなく近い2℃未満に抑えること」を目標と定めましたが、現在の二酸化炭素排出ペースでは2℃未満に抑えるのはかなり厳しく、今すぐに二酸化炭素排出量をゼロにしてもあと0.66℃気温が上昇するという研究結果もあるなど、先行き不透明よりもお先真っ暗という表現の方が近い状況です。   ま…

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テキサス州ヒューストンで集中豪雨 洪水により8人死亡

  米テキサス州ヒューストンとその近郊を襲った集中豪雨による洪水で8人が死亡、1000棟以上の建物が浸水するなど、その被害総額は5500億円を超えると伝えられています。   ヒューストンの一部の地域は、24時間で430ミリという、ユタ州ソルトレークシティーの1年間の降水量を上回る集中豪雨に見舞われました。ヒューストン市内の至る所で道路が冠水し、多くの自動車が取り残されています。   現時…

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NOAAも3月の世界平均気温は過去最高と発表

  人工衛星(UAH)(不確かな要素が大きいので参考程度ですが)、気象庁、そして米航空宇宙局(NASA)に続き、米海洋大気局(NOAA)の発表でも2016年3月の世界平均気温は、同月としての観測史上最高を記録しました。 2016年3月の世界平均気温の偏差(基準は20世紀)。単位は左側が摂氏、右側が華氏   NOAAによると、2016年3月の世界平均気温は12.7℃で、20世紀の平均気温よりも…

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やっぱり人為的地球温暖化のコンセンサスは得られているという研究結果

  以前、『【よくある間違い】人為的温暖化説はコンセンサスを得られていない』という記事で、人為的気候変動に関するいくつかのメタ分析(複数の研究の結果を統合した分析手法)の結果を挙げて、「20世紀後半以降の気温上昇の大半は人間活動による温室効果ガスの排出が原因」という仮説がコンセンサスを得られているという話をしましたが、エクソンモービル社による長年にわたる温暖化対策の妨害や、同社とコーク産業による…

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ラニーニャ現象って何?エルニーニョが終わると必ずラニーニャが始まるの?どれくらい強くなるの?

  2015年後半から2016年の3月まで、各月の世界平均気温が観測史上最高を記録する手助けをしてきた過去最強レベルのエルニーニョ現象がようやく終息に向かっています(この記事を書いているのが4月なので4月以降の世界平均気温も引き続き観測史上最高になる可能性はあります。また、エルニーニョは2015年の観測史上最高の世界平均気温と、2016年の1月から3月までが観測史上最も異常に暑い3ヶ月になった要…

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海面上昇と干ばつに見舞われる島しょ国に対する気候正義問題

               Credit: FreeImages.com/Sebastian Szlasa   以前に『島しょ国は海面上昇だけではなく水不足の被害も受けることになるという研究結果』という記事で、小さすぎて気候モデルのグリッドでは海と同じ扱いになっている島しょ国の70%以上、約1600万人が、2050年までに海面上昇だけではなく深刻な水不足の影響まで受けることになるという話をし…

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NASAも3月の世界平均気温は観測史上最高と発表

  日本の気象庁が2016年3月は観測史上最も暖かかったと発表したばかりですが、米航空宇宙局(NASA)も、2016年3月の世界平均気温が同月として観測史上最高を記録したと発表しました。 1880年から2016年までの3月の世界平均気温の偏差。黒い線は各年における3月の平均気温の偏差。赤い線は5年ごとの移動平均。(基準年は1951年から1980年。単位は℃)。NASAのGISSデータより作成。…

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2016年3月の世界平均気温は観測史上最高を記録  気象庁

  気象庁の発表によると、2016年3月の世界平均気温が1891年の観測開始以降最高を記録し、最も暖かい3月になりました。 細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均、直線(赤):長期的な変化傾向。基準値は1981〜2010年の30年平均値。Credit: 気象庁   3月の世界平均気温の偏差(基準年は1981年から2010年)は+0.62℃で3月としては観…

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グリーンランドの氷床が観測史上初めて4月に融解を始める

  デンマークの気象庁によると、例年は5月末から6月初旬に融解を始めるはずのグリーンランドの氷床が、1ヶ月半以上早い4月11日にとけ始めたそうです。   北極圏の氷全般を観測しているデンマークの気象庁運営の「Polar Portal」では、融氷シーズン開始の定義を「グリーンランドの氷床面積の10%以上の表層部分が1ミリメートル以上融解したとき」としていますが、2016年4月11日にグリーンラン…

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島しょ国は海面上昇だけではなく水不足の被害も受けることになるという研究結果

               Credit: FreeImages.com/Pere Rosales   インド洋のモルディブ、南太平洋のツバルやマーシャル諸島、フィジーなどの小さな島しょ国は、すでに気候変動による海面上昇の影響を受けており、その深刻さは今後悪化の一途を辿ると言われています。   しかし、気候変動による負の影響は海面上昇だけにとどまらず、今世紀半ばから今世紀末にかけて、島しょ…

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気候変動の影響の世代間における公正を求めた未成年者21人による米連邦政府に対する訴訟が次のステップへ

               Credit: Our Children's Trust   2015年に8歳から19歳までの未成年者が米連邦政府を相手取り、気候変動による影響の世代間の不公正をなくすための十分な措置をとらないのは違憲であるとした訴訟が予備審を通り、連邦下級裁判所での本格審査へと進みました。   この審査を巡っては、2016年3月に口頭弁論が行われ、米連邦政府に加えて化石燃料産…

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グリーンランドと南極大陸の氷の融解が原因で極点が移動しているという研究結果

  地球は自転軸を中心に24時間に1回の自転を行っていますが、極点は必ずしも同じ位置にあるわけではありません。地球の質量の変化によって極運動は変化し、極点も移動を繰り返しています。科学者は1899年以降、この極点と極運動の変化を観測してきました。   そして、今回、米ジェット推進研究所とカリフォルニア工科大学の研究チームが、グリーンランドと南極大陸の氷の融解による地球の質量の変化に伴って極運動…

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雲による温暖化抑制効果を高く見積もりすぎていたため、従来の予測よりも気温が上昇する可能性があるという研究結果

  雲が気候変動に与える影響は、気候科学の中でももっとも複雑で不確かな点が多い分野のひとつです。雲は、太陽からの放射エネルギーを宇宙へ向かって反射して温暖化を抑制する役割も果たしますが、地表から宇宙へ放射される熱を閉じ込めて地表を温める役割も持っています。これまでの研究では、温暖化を抑制する効果よりも、熱を閉じ込めて気温を上げる効果の方が大きいという説が有力ですが、まだ確立した科学ではありま…

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エルニーニョ現象が終息へ  ラニーニャ現象への移行は秋か

  2015年の桁違いの観測史上最高気温と、今年に入ってからの観測史上最も異常な暖かさをサポートしてきたエルニーニョ現象が、やっと終息を迎えようとしています。 1997-98年と2015-16年のエルニーニョ現象の比較Credit: NASA   1997-98年のエルニーニョと比較すると、まだ赤道太平洋東岸(ペルー沖)の水温は下がりきっていませんが、海表面よりも深い海域の水温が下がってきて…

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新規石炭火力発電所建設への総投資額約106兆円が無駄になる可能性があるというレポート

  世界中で新たに建設されている石炭火力発電所をはじめ、建設計画中であったり環境アセスメントが行われている段階の石炭火力発電所への投資額約1兆ドルが無駄になってしまう可能性があるというレポートを、国際環境保護団体のコールスワーム、シエラクラブ、グリーンピースが共同で発表しました。   現在建設中及び建設が計画されている石炭火力発電所は、気候変動対策の実行や大気汚染防止のために、建設されたとして…

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