衛星によるデータで、2月の世界平均気温は観測史上最高を記録しましたが、1月に続いて北極を含む高緯度地域の異常な暖かさが際立っています。その影響もあり、北極の平均海氷面積が、2月としては観測史上最小を記録しました。
2012年と2016年の、11月から3月までの北極の海氷面積(単位は百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
上のグラフは、夏(時期としては9月なので秋)の北極の海氷面積が史上最小を記録した2012年と今年を比較したものです。2月はほぼ1ヶ月間ずっと2012年を下回る状態が続きました。
2011年から2016年の、11月から3月までの北極の海氷面積(単位は百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
これは、上と同じく北極の海氷面積のグラフですが、2011年以降のすべての年が表示されています。これを見ると、2014年、2015年、そして今年と、3年連続でこの時期の海氷面積は2012年を下回っているのがわかります。これは、2014年と2015年の世界平均気温が2年連続で観測史上最高を記録した影響といえるでしょう。
1979年から2016年までの2月の平均海氷面積(単位は百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
これは1979年以降の2月の平均海氷面積を表したグラフです。10年あたり3%のペースで海氷がとけています。北極上空の気温は平年(1981年から2010年の平均)よりも6℃から8℃高く、その影響で海氷面積の拡大するペースが平年の1日あたり20,200平方キロメートルと比較して今年は19,700平方キロメートルまで落ちています。
また、近いうちに北極の海氷面積は最大になると思われますが、昨年を下回る観測史上最小の最大面積(大変ややこしいですが他の表現方法が見当たらないような…)を記録する可能性もあります。でも、仮に冬の海氷の最大面積が観測史上最小になったとしても、夏の最小面積が2012年を下回るかどうかはわかりません。
2012年から2016年までの海氷面積(単位は百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
上のグラフは2012年以降の年間を通じた平均海氷面積を表したものですが、2014年と2015年は、この時期には2012年よりも海氷面積が小さかったものの、夏に氷がとけなかったために最小記録を更新しませんでした。現在の異常な北極圏の暖かさがいつまで続いて、どれだけ海氷面積に影響を与えるのか、注目されるところです。
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