今年(2016年)に入ってから4月まで、世界の平均気温は観測史上最高を更新しています(NASAのデータでは7ヶ月連続、気象庁とNOAAのデータでは12ヶ月連続で各月の観測史上最高記録を更新中)。
その影響を受けて、北極の海氷もかつてないペースで融解しています。
2012年から2016年の、2月から6月までの北極の海氷面積(単位: 百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
米国立雪氷データセンター(NSIDC)によると、2016年5月の北極の海氷面積は2004年を58万平方キロメートル下回り、衛星による海氷面積の測定開始以降同月としては最小を記録しました。この58万平方キロメートルがどれくらいの大きさかというと、日本の国土面積の約1.5倍にあたります。また、1981年から2010年までの平均海氷面積と比較すると、139万平方キロメートル(日本の国土の約3.7倍)の海氷を失ったことになります。
これで、今年に入ってから北極の1ヶ月の平均海氷面積が最小記録を更新しなかったのは3月だけになっています。
1979年から2016年までの北極における5月の平均海氷面積(単位: 百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
このグラフは、衛星によって北極の海氷面積を測定するようになった1979年以降の5月の平均海氷面積を表しています。先ほどのグラフよりも、今年の異常さがよくわかると思います。
シベリア東部とヨーロッパ最北部から北極圏へ暖かい空気が流れ込んだために、ボーフォート海の海氷の融解が平年よりも早く始まったことがこの異常な現象の主な原因と考えられています。
2012年から2016年の北極の平均海氷面積の変化(単位: 百万平方キロメートル)
Credit: NSIDC
これは2012年以降の北極の平均海氷面積の変化を比較したグラフです。インタラクティブグラフなので、上のリンク先で日毎の平均海氷面積を確認することができます。夏の平均海氷面積が観測史上最小を記録した2012年(点線)は、6月以降に急激に海氷が融解しており、融解速度が緩やかになってきた今年が最小記録を更新するかどうかを現時点で予測するのは困難ですが、少なくとも最小記録に迫るのは間違いないでしょう。
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